弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

大阪地裁でクリニック側がミスを謝罪するとともに男児に哀悼の意を表する等の和解(報道)

2013年6月、破水した妊婦がバランスボールに乗せられ転倒した後、子宮破裂し、帝王切開で生まれた男児が重い障害を負った後に死亡し、またガーゼを体内に置き忘れられ再開腹を行った事案で、2022年12月13日に大阪地裁で和解が成立したと報じられました。和解は、クリニック側がミスを謝罪するとともに男児に哀悼の意を表し、解決金として130万円を支払うとの内容と報じられています。
この件は、私が担当したものではありません。

産科医療補償の原因分析報告書は、バランスボールを使う場合、使用方法を十分に説明し、安全に十分に配慮することが望まれる、と記載しましたが、子宮破裂の原因が転倒によるものかについては、可能性を指摘するにとどまりました。
バランスボールを使用についての注意義務違反があっても、子宮破裂の原因が転倒による高度の蓋然性が立証できないと児の障害、死亡との因果関係が立証できないことになり、損害賠償義務は認められません。
130万円は、ガーゼを体内に置き忘れられ再開腹を行ったことの慰謝料相当と考えられます。

京都新聞「手術ミス新生児死亡、和解 医院側、解決金と哀悼の意」(2023年1月5日)をご参照ください。

産経新聞「分娩時のバランスボールで転倒、手術ミスも 新生児死亡で夫婦が医院と和解」(2023年1月5日)をご参照ください。

谷直樹

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by medical-law | 2023-01-06 10:57 | 医療事故・医療裁判