弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

大学病院が本来切除すべきでないものを切除した医療事故2件を公表

新潟大学医歯学総合病院は、2023年1月27日、2件の医療過誤を公表しました。
これらは私が担当したものではありません。

1.内視鏡治療で目的とは異なる部位を切除した事例
2022 年 10 月に、70 歳代の男性の胃の 2 カ所の病変のうち1 カ所を内視鏡を用いて切除する際、本来切除するべき部位と、切除を予定していなかった部位を誤認して、切除を予定していなかった部位を切除してしまった医療事故です。
2切除を予定していなかった部位の方が、外見上むしろ切除を要する所見にみえたこと、術前に切除を行う部位の確認が不十分であったことが原因とのことです。
再発防止策として、術前の確認(タイムアウト)の際に、他の確認事項に加えて、病変の位置の確認と術前の病理検査の結果を、診療チーム全員で確認することとしました。また、診療科内および診療チームによる術前検討会においても、切除対象となる病変の再確認の徹底を行うこととしました。」とのことです。
確認が大事と思います。

2.切除予定がなかった動脈を切除した手術事例
2022 年 11 月に、60 歳代の女性で下肢の腫瘤の切除と人工骨頭による再建術を行う際に、本来切除する予定がなかった下肢の動脈を切除してしまった医療事故です。
切除した動脈は細く蛇行していたため他の動脈との区別がつきにくかったこと、もともと下肢の動脈の脈(拍動)が触れにくく、血流の低下に気づくことが難しかったことが原因とのことです。
再発防止策として、術前に造影 CT 検査などで動脈の走行をより詳細に検討しておくこと、術後に血流の障害が生じうることを念頭において、術後複数のスタッフで血行を評価すること、が挙げられました。」とのことです。
術前の対策が大事ではないでしょうか。



谷直樹

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by medical-law | 2023-01-31 13:54 | 医療事故・医療裁判