弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

医療安全情報No.195「照合の未実施による誤った患者への検査・処置」

公益財団法人 日本医療機能評価機構の医療事故情報収集等事業 医療安全情報No.195「照合の未実施による誤った患者への検査・処置」によると、検査や治療・処置の際、患者に氏名等を言ってもらったが、医療者が手元の情報と照合しなかったため、誤った患者に実施した事例が報告されています、とのことです。

「事 例 1
患者Xと患者Yは、CT検査室の待合室で検査を待っていた。診療放射線技師Aが、CT検査票を見て患者Xをフルネームで呼んだところ、患者Yが返事をした。技師Aは入室した患者Yに氏名と生年月日を言ってもらったが、患者XのCT検査票と照合せず、そのまま検査を実施した。診療放射線技師Bが、患者Xから「検査はまだか?」と聞かれ確認したところ、患者Yに患者Xの検査をしていたことが判明した。
事 例 2
患者Xは9時開始の骨シンチグラフィ、患者Yは10時開始の胆道シンチグラフィを予定していた。診療放射線技師は、9時に来院していた患者Yを骨シンチグラフィを行う患者Xであると思い込み、検査室に入ってもらった。患者の入室時は、検査予定一覧を手元の情報として患者照合を行うルールであった。技師は患者Yに氏名と生年月日を言ってもらったが、検査予定一覧と照合しなかった。担当の医師も患者Xであるか確認せず、患者Yに骨シンチグラフィ用の放射性医薬品を投与した。その後、撮影時間などを説明した際に、患者氏名が違うことが分かり、患者Yに患者Xの放射性医薬品を投与したことが判明した。」


思いこみのため、患者が言った氏名との照合を怠る医療従事者がいるのですね。
ルールを守ってもらうためには常日頃から「思い込みの危険」を言い続けるしかないように思います。

谷直樹

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by medical-law | 2023-02-16 09:33 | 医療事故・医療裁判