市民病院でCT検査の画像診断報告書の見落とし賠償へ(報道)
「滋賀県の高島市民病院でCT(コンピューター断層撮影)検査の画像診断報告書の見落としがあった問題で、同病院は27日、80代男性の遺族に損害賠償金60万円を支払うことを明らかにした。3月8日開会の高島市議会3月定例会に、同病院事業会計の2022年度補正予算案を提案する。
昨年12月末に男性の遺族と損害賠償金を支払う旨の合意書を交わしていたという。賠償金の財源は保険会社からの保険金を充てる。
同病院事務部は「病状の進行具合の因果関係を特定するのは困難だが、弁護士など専門家と協議して算定した」とし、60万円となった経緯については「個人情報となるので差し控える」としている。
同市内の80代男性は、19年1月に腹痛で救急外来を受診した際にCT検査を受けた。放射線科医は報告書に「肺がんの疑い」と記したが、主治医が見落としていた。男性はがんで20年6月に亡くなったという。
同病院ではほかにも、70代男性と90代女性のCT検査で同様の見落としがあった。このうち、がんで亡くなったとされる70代男性の遺族とも賠償について協議をしているという。」
上記報道の件は私が担当したものではありません。
同院のサイトには「CT画像診断報告書見落とし事案について」が掲載されています。その事案2でしょう。
「●事案2
平成31年1月に腹痛で救急外来を受診された際にCT検査を行い、CT画像診断報告書に「肺がんの疑い」の指摘がされていたにも関わらず見落とした。
令和元年11月に救急外来に受診された際に判明いたしました。
当該患者様は、転院搬送先の病院から転院された別の病院で治療を受けられていたが、令和2年6月にお亡くなりになりました。」
「4.再発防止策
1)医療安全研修の実施
・診断レポート確認不足への対応研修の実施
2)画像診断報告書の内容確認の徹底
・電子カルテシステムに未読件数表示機能を追加し、担当医師による画像診断報告書の
内容確認の徹底を行う。
3)放射線画像検査報告に関する手順書の整備と改定
・放射線科スタッフが重要所見の記載がある場合は、担当医師への報告を行う。
・特に緊急性の高い所見があれば、放射線科医師が担当医師に直接連絡を行う。
・予約外検査は、全例各診療科長が報告書の再確認を行う。」
2019年1月に見落としがあり2020年6月に肺がんで亡くなったことから、見落としがなかったなら2020年6月に肺がんで亡くならなかったという因果関係の認定が難しいと判断されたのでしょう。死亡との因果関係の認定が難しい場合でも、診断治療が遅れたことの精神的苦痛に対する慰謝料は発生すると考えられます。慰謝料の算定は諸般の事情を総合的に評価して決めるべきものと考えます。
谷直樹
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