広島地裁福山支部令和5年3月1日判決、介護老人保健施設の入所者転倒について1650万円の慰謝料支払いを命じる(報道)
「母親が転倒し死亡したのは施設の安全管理に問題があったのが原因として遺族が施設を運営する医療法人に損害賠償を求めていた裁判で、広島地裁福山支部は遺族の主張を認め1650万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。
2020年6月11日午前0時過ぎ、福山市水呑町にある介護老人保健施設サンスクエア沼南に入所していた高齢女性(74)が自分の部屋で転倒し、およそ7時間後、意識不明の状態となりその後、死亡しました。
死因は転倒し顔を強く打ったことによる外傷性急性硬膜下出血でした。
遺族側は「車いすで生活し認知症も進んでいた母親が1人で移動したりベッドを降りようとする行動が再三見られ、転倒した場合、頭や体を強く打ち、重篤な状態に陥ることを施設は十分に予見可能だった」などと主張。
一方、被告側は「女性に歩行中の転倒事故はなく職員らに事故発生の予見可能性はなかった」「衝撃吸収マットは厚みで段差があり車いすでの移動に適さず、またマットを設置する義務もなかった」などと主張していました。
1日の判決で広島地裁福山支部は「職員らは女性が転倒した際に重大な傷害を負うのを防止するため少なくともベッドの周辺に衝撃を緩和する設備を設置すべきと認められ注意義務に違反したというべきである」などとして施設を運営する医療法人社団常仁会に1650万円の慰謝料を遺族に支払うよう命じる判決を言い渡しました。」
上記事件は私が担当したものではありません。
(私は介護老人保健施設に対する損害賠償請求は取り扱っていまんせん。)
介護老人保健施設の入所者に対する転倒防止のための注意義務は、医療機関の患者に対する転倒防止のための注意義務は全く同じですはありませんが、共通するところもありますので、上記判決は参考になります。
谷直樹
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