人血小板濃厚液の使用時の安全確保措置の周知徹底について
「<事例1>
悪性腫瘍にて手術予定であった 70 代男性。手術前に血小板輸血を行ったところ、投与 50 分後より頭痛、吐き気、咳嗽あり。アレルギー症状が疑われ、輸血は中止、手術も中止となった。投与 2 時間後、体温 39.8°Cを呈し、血液培養検体よりM.morganii が同定された。メロペネム水和物が投与開始され、回復するも後遺症あり。当該製剤と患者から検出されたM.morganii が一致した。
<事例2>
狭心症に対し緊急手術目的に冠動脈バイパス術を施行した 70 代男性。投与後 1 日目に血圧の急激な低下、多臓器障害が出現し、メロペネム水和物、バンコマイシン塩酸塩投与開始された。血液培養検体からはM.morganii が同定された。投与後 3 日目に敗血症性ショックにて死亡された。」
厚生労働省は、令和5年2月 27 日、通知「人血小板濃厚液の使用時の安全確保措置の周知徹底について」を発しました。
「(1)人血小板濃厚液の使用により、細菌等によるエンドトキシンショック、敗血症等があらわれることがあるので、観察を十分に行い、症状があらわれた場合には輸血を中止し、適切な処置を行うこと。
(2)外観上異常を認めた場合は使用しないこと。
(3)輸血中は患者の様子を適宜観察すること。少なくとも輸血開始後約5分間は患者の観察を十分に行い、約 15 分経過した時点で再度観察すること。
(4)輸血に際しては副作用発現時に救急処置をとれる準備をあらかじめしておくこと。
(5)輸血には同種免疫等による副作用やウイルス等に感染する危険性があり得るので、他に代替する治療法等がなく、その有効性が危険性を上回ると判断される場合にのみ実施すること。
(6)輸血を行う場合は、その必要性とともに感染症・副作用等のリスクについて、患者又はその家族等に文書にてわかりやすく説明し、同意を得ること。」
輸血用血液製剤は、人の血液を原料としているため感染症伝搬等のリスクを完全には排除することはできません。リスクに対応した処置が求められます。
谷直樹
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