弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

市立病院、医療事故発生のお詫び

松本市立病院は、2023年3月9日、そのサイトに、以下の「医療事故発生のお詫び」を掲載しました。

「1 はじめに
 松本市立病院では、日頃から安全・安心な医療の提供に努めておりますが、今回、広く情報共有が必要と判断される「遺体を取り違えて病理解剖を行う」という医療事故が発生したため、今後、同様の事故を繰り返さないために報告いたします。

2 事故内容
 事故当日、病棟では入院中に死亡された患者様の死因究明のため、病理解剖を実施することが決まっていました。一方、救急外来では、その日の早朝に心肺停止状態で搬送された患者様が、蘇生術にもかかわらず死亡されました。救急外来で亡くなられた患者様のご遺体を、ご家族様のお迎えが来る間、以前から遺体安置場所として使用していた病理解剖室前室(以下、「解剖前室」という。)に安置しました。そのご遺体を、病棟の病理解剖を実施する予定のご遺体と思い込み病理解剖を始めてしまいました。生前の既往歴や画像所見と異なることに気づき、ご遺体を取り違えたことが判明しました。

3 発生に至った原因
⑴ 病理解剖室入室時に主治医による患者確認が行われなかったこと。執刀時に主治医、執刀医及び臨床検査技師(以下「担当職員」という。)による患者確認が行われなかったこと。
⑵ 安置されている遺体の氏名等を確認出来るものがなかったこと。
⑶ 解剖前室に外来患者の遺体が安置されていることが、担当職員に伝わっていなかったこと。
⑷ 担当職員は、解剖前室入室時に遺体が安置されていたことから、解剖予定の遺体と思い込んでしまったこと。
⑸ 発熱外来開設以降、遺体安置場所の確保が困難になり、解剖前室を遺体の安置場所として使用していたこと。

4 再発防止策
⑴ 病理解剖マニュアルの見直し
 ア 解剖実施時は、タイムアウト(職員が一時手を止めて、全員で患者氏名、部位等の確認を行うこと)を取り入れて患者確認を徹底します。
 イ 外来患者の場合、氏名が書かれた用紙(外来基本カード等)を遺体と一緒に置き、患者の確認ができるようにします。
 ウ 入院患者の場合、解剖が終るまではネームバンドを外さないようにします。
 エ 主治医は、病理解剖室への入室を連絡し、担当看護師から直接申し送りを受けます。
⑵ 外来で亡くなった患者の遺体安置場所を変更します。

5 結語
 今回の事故は、思い込みのために患者確認を怠ったこと、職員間での情報の伝達共有が十分ではなかったこと、遺体安置場所が適切に設けられていなかったことが原因と考えられます。ご遺体を傷つけ、また、ご遺族様に大変なご心労をおかけしたことを心よりお詫び申しあげます。
 再びこのような医療事故を起こさないよう、医療安全に対する意識の向上と再発防止策の徹底に努め、患者様と市民の皆様の信頼回復に向け、職員一同、全力で取り組んでまいります。」


この件は、私が担当したものではありません。
病理解剖での取り違えをはじめてききました。
患者本人への確認ができないのですから、取り違え防止策が必要です。

谷直樹

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by medical-law | 2023-03-10 06:08 | 医療事故・医療裁判