岡山弁護士会、マイナンバーカード取得を保育料、学用品費及び給食費の免除の要件とする岡山県備前市の施策について再考を求める会長声明
「(前略) 園児、児童生徒の世帯員がマイナンバーカードを取得しているか否かは、保育料、学用品費等の納付免除という保護者の経済的負担軽減措置の目的とは何の関係もない事項である。したがって、保育料、学用品費等の納付免除を受けるために世帯員全員のマイナンバーカード取得という無関係な事項を要件とする備前市の本施策は、本来、公平でなければならない教育や行政サービスに対して、世帯全員がマイナンバーカードを取得している園児、児童生徒及びその保護者とそうでない園児、児童生徒及びその保護者との間に合理的理由のない差別を持ち込むことになり、憲法第14条の平等原則に反するものである。
また、備前市の本施策は、世帯員全員がマイナンバーカードを取得している場合に、申請により、保育料、学用品費等の納付を免除するというものであり、世帯を同じくする園児、児童生徒の保育料、学用品費等の納付免除と引き換えに、保護者ら世帯員全員のマイナンバーカード取得を事実上強制する効果を持つことは明白である。憲法第13条に基づく自己情報コントロール権のもと、マイナンバーカードに情報が集約されるのを拒否する自由もまた尊重されるべきである。
よって、当会は、備前市に対し、世帯員全員のマイナンバーカード取得を保育料、学用品費等の免除の要件とする備前市の本施策について再考を求める。」
ちなみに、日弁連は、2021年5月7日に「個人番号カード(マイナンバーカード)普及策の抜本的な見直しを求める意見書」を、2022年9月27日に「「マイナ保険証」取得の事実上の強制に反対する会長声明」をそれぞれ発出しています。
谷直樹
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