弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

すい臓全摘手術で遺族が県に損害賠償を請求した裁判で県が請求棄却を求める(報道)

大分市に住む当時59歳の男性が2023年5月に県立病院ですい臓がんの疑いと診断され、同年6月に全摘手術を受け、同年11月に死亡した事案で、遺族が病理診断を全摘手術前に行わなかったこと、術後管理が不十分だったことなどを理由に県に対し3300万円の損害賠償を求めて提訴した件について、県は請求棄却を求めたそうです。

大分放送「県立病院で「がん」ではないすい臓を摘出 死亡した男性の親族 3300万円の損害賠償」(2023年3月24日)御参照

上記報道の件は、私が担当した事件ではありません。
誤診イコール医療過誤ではありません。誤診が標準的な診断方法の結果であれば過失はありません。
普通、CA19-9、造影CT検査、腹部MRI検査、それで確定診断が得られない場合にEUS、ときにはERCPなどを行い、すい臓癌と診断します。可能な限り病理検査を行うのが望ましい、とされていますが、行われない場合もあります。上記報道の件ではどのような事情があって術前の病理が行われなかったのでしょうか。
すい臓がん手術は合併症が出やすく厳しいものがあります。退院させた時点では合併症はどのような状態だったのでしょうか。
報道を読む限り難しそうですが、訴訟の推移に注目したいと思います。

谷直樹

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by medical-law | 2023-03-25 00:43 | 医療事故・医療裁判