弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

「がん対策推進基本計画(第4期)」を閣議決定

2023年3月28日の閣議で「がん対策推進基本計画(第4期)」が決定されたそうです。

「「誰一人取り残さないがん対策を推進し、全ての国民とがんの克服を目指す。」を全体目標とした上で、3本の柱という第3期基本計画の構成を維持して「がん予防」、「がん医療」及び「がんとの共生」の各分野における現状・課題、それらに対する取り組むべき施策を定める。」とのことです。

とくに希少がん、難治性がんについて、次のとおり述べています。

「希少がんについて、国は、平成 30(2018)年に、国立がん研究センターを、希少がん医療を統括する希少がん中央機関として位置付け、希少がんコンサルテーション体制の整備による診断支援や希少がん対策ワーキンググループによるガイドラインの作成等の取組を通じて、希少がん患者の集約化や専門施設の整備、希少がんに対応できる病院と拠点病院等や小児がん拠点病院等との連携を推進し、患者が全国どこにいても、適切な医療につなげられるよう対策を講じている。
希少がん患者の初診から診断までの時間が1か月未満であった割合は、平成30(2018)年度で 66.4%、診断から治療開始までの時間が1か月未満であった割合は 72.3%であった52。また、患者に有効性の高い診断法・早期発見法・治療法を速やかに提供するための体制整備を進めた結果、希少がんについて、専門的な医療を受けられたと感じているがん患者の割合は平成 30(2018)年度において 80.0%となった。
希少がんの情報の集約及び発信については、国立がん研究センターがん対策研究所がん情報サービス(以下「がん情報サービス」という。)における情報提供や、希少がんセンターにおける情報発信、患者やその家族等だけでなく、医療従事者も相談することのできる希少がんホットラインの整備等を進めている。
また、平成 29(2017)年より国立がん研究センターにおいて、一部の希少がんの各地域における診療実績を公開している。
膵がんをはじめとした、いわゆる難治性がんは、治療成績の向上が喫緊の課題である。
早期発見が困難であるために難治性がんとなっているものについては、がんの存在診断のための革新的技術を開発するとともに、転移・再発したがんを克服するための第一歩として、浸潤・転移といったがんの特性を解明する研究を更に推進することが求められる。
また、希少がん及び難治性がんにおいては、治療薬の候補が見つかっても保険診療下で使用できる薬が少ない、参加可能な治験が少ない等、薬剤アクセスの改善が課題となっている。
(取り組むべき施策)
国及び都道府県は、患者やその家族等への情報提供の更なる推進のため、拠点病院等における診療実績や、医療機関間の連携体制等について、患者やその家族等の目線に立った分かりやすい情報提供を推進する。
国は、希少がん患者及び難治性がん患者の、高度かつ専門的な医療へのアクセシビリティを向上させるため、都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会における地域の実情を踏まえた議論を推進し、拠点病院等の役割分担に基づく医療
機関間の連携体制の整備を推進する。
国は、希少がんについて、適切な診断に基づく治療を提供するため、病理診断や治療等に係る希少がん中央機関と拠点病院等との連携体制の整備を引き続き推進する。
国は、希少がん及び難治性がん領域における薬剤アクセスの改善に向けて、日本の薬事規制等の海外の中小バイオ企業への周知等を通じ、日本での早期開発を促すなど治験の実施(国際共同治験への参加を含む。)を促進する方策を検討
するとともに、希少がん中央機関、拠点病院等、関係学会及び企業等と連携した研究開発を推進する。また、関係学会等と連携した診療ガイドラインの充実を図る。
【個別目標】
希少がん患者及び難治性がん患者が、必要な情報にアクセスでき、そこから速やかに適切な医療につながれることを目指す。」


谷直樹

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by medical-law | 2023-03-30 06:06 | 医療