弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

熊本地裁令和5年4月19日判決 転医義務違反認め約1800万円の支払いを命じる(報道)

2018年 当時86歳の男性が、腹痛を訴え人吉市の病院に運ばれ入院し、その翌日に死亡した事案で、熊本地裁令和5年4月19日判決(裁判長品川英基 50期)は、「男性の症状を見て、治療が可能な病院に転医させていれば生存していた可能性がある」、「転医義務違反と死亡には因果関係がみとめられる」と認定し、病院と診察した医師に対し約1800万円の支払いを命じました。

RKK「「転医させていれば生存していた可能性があった」病院に賠償を求めた裁判 病院側に支払いを命じる判決 熊本・人吉市」御参照

上記報道の件は私が担当したものではありません。
最判平9・2・25(民集51巻2号502頁)は、「開業医の役割は、風邪などの比較的軽度の病気の治療に当たるとともに、患者に重大な病気の可能性がある場合には高度な医療を施すことのできる診療機関に転医させることにある」と判示しました。
症状から自院では対処できない重大な疾患、専門外の疾患が疑われるときは、転医義務があります。
転医義務違反の事案では転医したとしても同じ結果になったかどうか(因果関係)がよく争われます。
上記判決が判例雑誌に掲載されたら是非読んでみたいと思います。

谷直樹

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by medical-law | 2023-04-20 08:42 | 医療事故・医療裁判