ニボルマブ(免疫チェックポイン ト阻害剤)療法中の1型糖尿病発 症事案と再発防止の提案
アクシデントに対する調査の実施状況について(包括公表)(令和5年度公表)
調査の概要は、以下のとおりです。
「1型糖尿病の発症は、ニボルマブ(免疫チェックポイント阻害剤)療法による免疫関連有害事象が原因だった。
医学的検証として、肺癌の診断、ニボルマブ療法の治療選択は標準的だった。ニボルマブ治療の導入時、1型糖尿病を含む免疫関連有害事象の説明が不足していたものの、免疫関連有害事象の説明と症状出現時、緊急連絡する必要性などについて事前に指導していたことは、適切であった。臨時受診した際1型糖尿病を疑い、速やかに糖尿病専門医へ相談、緊急入院を要請したことは、適切であった。
ニボルマブ療法中に血糖等の測定がなかったことは適切ではなかったが、仮に測定していても1型糖尿病の発症自体は避けられなかった。
再発防止策として、(1)IC 文書の適正化(2)免疫チェックポイント阻害剤による有害事象が早期に発見できるよう、検査項目のセット化や、多職種による確認体制の構築(3)免疫関連有害事象のマネジメント体制の整備が提言された。」
免疫チェックポイント阻害薬による内分泌障害(特に1型糖尿病)については、以前から学会がたびたび注意喚起していたのですが。
「血糖、尿糖を定期的に測定していればより早期に発見できた可能性はあるが、今回は適切な患者指導によって患者からの症状発症時の連絡につながり、重篤化する前に対処することができた。」とのことで、報告事案ではインスリン療法導入によって重篤な結果が回避されましたが、早期診断・早期治療が肝要です。
なお、上記事案は私が担当したものではありません。
谷直樹
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