「医療安全情報No.201 シリンジポンプの薬剤量や溶液量の設定間違い」
次の事例1と2を紹介しています。
「事 例 1
シリンジポンプでプロポフォールを投与する際、薬剤量「10mg」、溶液量「1mL」と設定しようとしたところ、薬剤量を「1mg」と誤って入力した。そのため、実際の10分の1の濃度に設定され、投与予定の10倍に換算された流量で開始した。投与開始3分後、シリンジポンプの設定の誤りに気づき投与を中止した。
事 例 2
医師は、アルチバを溶解しシリンジポンプにセット後、体重「60kg」、薬剤量「0.1mg」、溶液量「1mL」、投与量「0.5μg/kg/min」と設定したつもりであった。投与開始直後に血圧低下を認めたため確認すると、溶液量を「5mL」と誤って入力していた。そのため、実際の5分の1の濃度に設定され、投与予定の5倍に換算された流量で投与していた。医師は、表示された流量を投与前に確認していなかった。」
医療事故調査・支援センター(一般社団法人 日本医療安全調査機構)の「医療事故の再発防止に向けた提言第 15 号薬剤の誤投与に係る死亡事例の分析」(2022年 1月)にも、次の事例が紹介されています。
「事例 26 シリンジポンプの設定間違いがあり過量投与に至った
オノアクト点滴静注用(ランジオロール塩酸塩):抗不整脈薬
ノルアドレナリン注 1mg(ノルアドレナリン):昇圧薬
・80 歳代、大動脈弁狭窄症・閉鎖不全症、僧帽弁閉鎖不全症、三尖弁閉鎖不全症
・弁置換、弁形成術のため、看護師はオノアクトとノルアドレナリンなどの薬剤を準備し、シリンジポンプの投与単位を mg / kg / h に間違えて設定した。術中、医師は院内ルールであるμg / kg / h で設定されていると思い込み、設定単位を確認せずに点滴を投与した。
・投与開始約 1 時間後、循環動態が不安定となり薬剤投与ルートを確認。過量投与が判明し、オノアクトとノルアドレナリンを設定変更したが急性右心不全となり、体外循環施行。約 1 週間後に死亡。
・死因は、急性右心不全。Ai 有、解剖有。」
シリンジポンプを用いて投与する薬剤は流量の単位を間違えると重大な結果を生じ得ますので、単位にも注意する必要があります。
谷直樹
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