DNARを巡る裁判(報道)
担当したのは私ではなく、東京グリーン法律事務所の梶浦明裕先生です。
梶浦明裕先生はは、「DNARを巡る訴訟は過去にない。全国的にDNARを正しく理解し、同じような医療過誤が起きないようにしてほしい」と述べた、とのことです。
茨城新聞「JA茨城県厚生連を提訴 死亡男性遺族「医療ミス」」(2023年8月31日)御参照
誤嚥性肺炎については、予防、治療についての知見が集積されています。
AHA Guideline 2000は,蘇生に成功することがそう多くない中で蘇生のための処置を試みないことをDNAR(do not attempt resuscitation)としています。蘇生に成功する可能性が低くないときはDNARにはならないのです。
一般社団法人日本集中治療医学会は、「Do Not Attempt Resuscitation(DNAR)指示のあり方についての勧告」を発出しています。
「1. D NAR 指示は心停止時のみに有効である。心肺蘇生不開始以外は ICU 入室を含めて通常の医療・看護については別に議論すべきである。
2. DNAR 指示と終末期医療は同義ではない。DNAR指示にかかわる合意形成と終末期医療実践の合意形成はそれぞれ別個に行うべきである。
3. DNAR 指示にかかわる合意形成は終末期医療ガイドラインに準じて行うべきである。
4. DNAR 指示の妥当性を患者と医療・ケアチームが繰り返して話し合い評価すべきである。
5. Partial DNAR 指示は行うべきではない。
6. DNAR 指示は「日本版 POLST―Physician Ordersfor Life Sustaining Treatment―(DNAR 指示を含む)」の「生命を脅かす疾患に直面している患者の医療処置(蘇生処置を含む)に関する医師による指示書」に準拠して行うべきではない。
7. DNAR 指示の実践を行う施設は,臨床倫理を扱う独立した病院倫理委員会を設置するよう推奨する。」
日本ではDNARを誤解している医療者も少なくないようなので、この裁判に注目したいと思います。
谷直樹
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