製薬会社の8年間続いた不正行為
沢井製薬株式会社は、2023年10月23日、「当社九州工場でのテプレノンカプセル 50mg「サワイ」安定性モニタリングにおける不正に関する調査について」を発表しました。
「九州工場で製造する本件製品の安定性モニタリング(製造販売の承認後の医薬品の品質が担保されていることを継続的に確認・保証すること)における溶出試験について、2015 年以降、カプセルから内容物である顆粒を取り出して別の新しいカプセルに詰め替える作業を行った上で、当該詰め替え後の検体を用いて溶出試験を実施し合否判定を行う不正行為(本件不適切試験)が継続的に実施されていました。」
つまり、8年間中身を入れ替えて安定性モニタリングを行ってきたのです。
しかも、それは上層部の指示と受け取られてきた、とのことです。(上層部の指示ではなかったとのことです。)
「本件不適切試験は、2013 年に実施された本件製品の安定性モニタリングにおける溶出試験で規格外(OOS)の結果が発生した際に、当時の九州工場の上層部において、GMP(医薬品の製造管理及び品質管理の基準)に基づく手続を怠ったことを契機として実施されました。すなわち、当時の上層部において、規格外(OOS)の結果を受けて、溶出性の低下の原因を調査するためにカプセルを詰め替えて試験を実施することを指示したものの、GMP に基づく正式な社内報告や原因究明・是正措置等を行うことなく、カプセルを詰め替えて実施した試験による規格内の結果をもって、当該溶出試験に関する GMP 上の手続を終了していました。このような処理を受けて、本件製品の安定性モニタリングにおける溶出試験では、カプセルを詰め替えて実施した試験による規格内の結果をもって処理することが、上層部からの指示であると考えた試験担当者らにより、本件不適切試験が継続的に行われていました。」
「本件不適切試験が行われ、継続して実施されてきた原因について、人的要因に起因する問題として、①安定性モニタリングを軽視する風潮の蔓延、②上司の指示に疑問を持たずに従う傾向、③試験関与者のGMP に対する理解の欠如が、物的要因に起因する問題として、①品質管理・品質保証の観点からの実効的な監督体制の不備、②試験記録管理の不十分さ、③試験を担当する品質管理部の業務過多及び人員不足が挙げられます。」
とまとめています。
①安定性モニタリングを軽視する風潮の蔓延、②上司の指示に疑問を持たずに従う傾向、③試験関与者のGMP に対する理解の欠如は、製薬会社として末期的な状態ではないかと思います。
同社の発表には、社長直轄の企業風土改革プロジェクト立ち上げ等の再発防止策も書かれています。
ちなみに、同社の企業理念は、次のとおりです。
「なによりも患者さんのために
「真心をこめた医薬品を通じ、人々の健やかな暮らしを実現する」それがsawaiの使命です。
「創造性を追求し、革新と協調により社会と共に成長する」それがsawaiの挑戦です。
「お役に立ちたいという心を持ち、なくてはならない存在になる」それがsawaiの願いです。」
発覚と発表までの経緯
2023年4月に、所属半年程度の担当者が承認書通り試験を実施したところ、カプセルが解けず溶出率が「0%」となる事例も発生しました。
5月に沢井製薬の経営陣ににそれが伝わりました。
6月に特別調査委員会を立ち上げました。
7月に始めたテプレノン自主回収の案内で不正に関して記載する原案もありましたが、その時点では調査が不十分で「当局の判断が出ていない」状況も鑑み「経営判断」(木村社長)により公表は伏せていました。
10月上旬に、医薬品医療機器等法に定められた「命令」に基づき、沢井製薬は福岡県薬務課に1報告しました。
谷直樹
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