弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

熊本地裁令和5年12月25日判決、腹部大動脈瘤切除手術で説明義務違反を認定(報道)

熊本地裁令和5年12月25日判決(川崎聡子裁判長)は、男性は2010年7月、腹部大動脈瘤切除などの手術後、合併症を発症し、医師らは両脚の切断が必要と説明したが、男性は同意せずに死亡した事案で、手術で死に至る合併症が起きるリスクがあり、その場合両脚を切断しなければ救命できない事態に発展する可能性があったことから、手術に先立ち、危険性があると説明する義務があったと認定し、国保水俣市総合医療センターに約300万円の支払いを命じた、とのことです。
これは私が担当した事件ではありません。
血行再建によるMNMS(myonephritic metabolic syndrome 筋腎代謝症候群)を来した症例と思います。MNMSは治療が難しく、したがって医師の治療責任が否定されることも多いのですが、MNMSに至る前に血液濾過等で対処することはできなかったのでしょうか。
判決が死亡との因果関係を否定したことからすると、手術に同意して両脚を切断していれば救命できたと考えられる事案なのでしょうが、その根拠は何だったのでしょうか。
判例雑誌に掲載されたら是非読みたい判決です。

読売新聞「大動脈瘤切除で死に至る合併症リスク「手術前に説明する義務あった」…病院側に賠償命令」(2023年12月26日)御参照

谷直樹

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by medical-law | 2023-12-31 21:10 | 医療事故・医療裁判