神奈川県立病院機構医療安全推進体制に係る外部調査委員会調査結果報告書
総括に次のとおり記載されています。
「少なくとも本死亡事故発生以前において、同センターに患者の安全確保を最優先事項とするための明確な病院理念を組織の隅々まで貫通させ、専門性の異なる多様な部門や診療・ケアを「患者安全」という概念で規律付け、統率するための強固な覚悟とリーダーシップ・統治システム(クリニカルガバナンス)が存在していたとは言えない。
また、事故発生後においても、これまでの慣習と決別し、透明性や第三者性の確保を含めた患者安全の抜本的改革に全職員が一丸となって臨む、といった変革段階に移行しているとは言い難い。
執行部・診療科間・部局間に存在する不可侵のムード、院内のセクション数の多さ、それぞれの部局の持つ独立性・専門性の高さは、部署を横断した積極的な関わり合いを阻む構造となっており、また、徐々にマイクロシステム内のリスクが増大する中、全身管理を不得手とする医師層の存在や、それらの医師層に対する教育不足、またそれを病院全体として補う体制の弱さなどが、患者安全上の脆弱性を生む素地となっている。
さらに、患者の入院病棟が、病態別ではなく年齢別に決定され、混合病棟が常態化し、マイクロシステムが分散して業務を行わなければならない状況が生まれており、職員間に患者安全上の懸念が存在している。
その他、今回の検証対象である①~⑤いずれにおいても、重要な課題を指摘でき(7~11 頁)、特に医師の患者安全に対する無理解と無関心、不作為などは深刻な状況となっている。
また、病院全体として重大医療事故調査の経験が乏しく、有事業務の管理・運営、遺族との情報共有のあり方等に大幅な改善の余地がある。
これらの問題の多くはこども医療センターのみの問題ではなく、全国の多くの小児専門医療機関の抱える課題と一致する部分が多いと考えられる。」
神奈川県立病院機構医療安全推進体制に係る外部調査委員会調査結果報告書
谷直樹
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