弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

准看護師が「トリクロリールシロップ」と「80%トリクロロ酢酸液」を取り違え、さらに報告を怠り、乳児が入院治療

近江八幡市立総合医療センターは、令和6年4月25日、患者家族の意向を踏まえて、「80%トリクロロ酢酸液」の誤投与の危険性について注意喚起することで他施設における同種事故発生を防止するという観点、及び「80%トリクロロ酢酸液」の誤投与に関する情報を収集するという観点から、医療事故を公表しました。
同センターサイトの「当センターで発生しました医療事故について」によると、事故の概要と再発防止策は以下のとおりです。
なお、これは私が担当したものではありません。

「1.概要

患者様:市内在住の乳幼児(生後6ヶ月未満)
発生年月:令和6年3月11日(月)
発生場所:近江八幡市立総合医療センター耳鼻咽喉科外来
当事者:外来所属 50歳代 准看護師

 聴力検査(ABR:聴性脳幹反応検査)目的で当センター耳鼻咽喉科を受診された当該患者様に対して、本来であれば検査前に「トリクロリールシロップ(鎮静剤)」を経口投与すべきであったところ、間違えて他の疾病用に耳鼻咽喉科冷蔵庫で保管されていた「80%トリクロロ酢酸液」を投与してしまったものです。さらに、本件事故発生後、当事者は直ちに担当医師又は周囲の看護師へ報告することを怠り、その結果、適切な初期対応ができず、当該患者様の下顎部皮膚及び口腔内の炎症を引き起こし、入院治療を要する事態に至りました。
なお、現在、当該患者様の口腔内の炎症は回復され既に退院されていますが、下顎部皮膚の熱傷については、発赤が残存しており、今後も継続して経過観察していく予定です。

2.再発防止対策

 現在、当センターにおいて本件事故の発生原因・要因の分析・検証を行っているところであり、今後それを踏まえた再発防止策を具体的に策定する必要がありますが、現時点で判明している事実経過・原因等に基づき、順次、以下の再発防止策を講じてまいります。
「80%トリクロロ酢酸液」は薬剤部管理とし、その都度、薬剤部で払い出しをすることとし、診療科外来に常備しない(すでに実施)
名称が似た薬剤の誤投薬防止のための薬剤表示方法の検証と工夫
本件事故の院内周知とともに、医療事故発生時の対応に関する医療者個々人の意識改革のための研修会の実施


谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓
にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ


by medical-law | 2024-04-26 01:02 | 医療事故・医療裁判