腸閉塞解除術の麻酔導入時に吐物の吸引不足により誤嚥性肺炎からARDS(急性呼吸窮迫症候群)を発症し死亡した事案遺族に4000万円を支払うことで和解
上記によると経過は以下のとおりです。
「患者さんは70歳代の男性で、S状結腸がんと食道がんの治療を受け、さらに胃管再建術(胃を管状(胃管)にして食道の代用にする手術)を受けられたのち、外来通院されていました。
2022年9月、癒着性の腸閉塞の診断により緊急手術となりました。
麻酔導入時、マスクを用いて用手的に換気を開始したところ、直後に嘔吐されました。口腔内を吸引し吐物が残存していないこと、喉頭鏡でも吐物がないことを確認した後に気管内挿管を行い、さらに吸引チューブで気管内吸引を行いました。
吐物がほぼ吸引されてこなかったことから手術の開始は可能と判断し、予定どおり実施しました。
手術終了後、酸素飽和度が低下したため気管支鏡を施行したところ、左肺下葉を中心に両側気管支に緑がかった茶色の液体が多量に存在し、麻酔導入時の嘔吐で誤嚥していたことが明らかになりました。
ICUにて集中治療を行いましたが、呼吸状態が悪化し、翌日、お亡くなりになられました。」
事故調査の経緯と結果は以下のとおりです。
「当院では、事故原因の究明と再発防止策の策定のため、外部の専門家を含む医療事故調査委員会を開催しました。その結果、死亡原因は麻酔導入時に多量の吐物が気管内に存在している状態で手術を行い、さらに陽圧換気※をしていたことにより、誤嚥性肺炎から急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を発症し、全身状態が急速に悪化したと推察されました。」
13日の会見で、病院は、臨時の手術だったため事前に麻酔の導入方法について議論することなく麻酔科の医師が単独で麻酔が効いた状態に導く方法を決め、その方法が間違っていたこと、吐いた物が出た際に気管支鏡で確認を行わなかったこと、気管に嘔吐物が入っていないと判断を誤り続行したことなどが砂亡の原因と説明したとのことです。
また、解決金約4000万円を遺族に支払う議案を県議会に提出する予定とのことです。
静岡新聞「医療事故で男性患者が死亡 麻酔時に吐いた物の吸引不足が原因か 4,000万円の解決金支払いで和解」(2024年6月13日)御参照
谷直樹
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