弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

日弁連 日本学術会議の独立性・自律性の尊重を求める会長声明

日本弁護士連合会(日弁連)は、2024年6月19日、「日本学術会議の独立性・自律性の尊重を求める会長声明」を発表しました。

「政府は、2023年12月22日、「日本学術会議の法人化に向けて」と題する内閣府特命担当大臣決定(以下「大臣決定」という。)を発表した。大臣決定は、その前日に発表された「日本学術会議の在り方に関する有識者懇談会」の中間報告が、日本学術会議(以下「学術会議」という。)が政府等からの独立性を担保するには国から独立した法人格を有する組織になることが望ましいとしたことを受けて、学術会議を現在の「国の特別の機関」から国とは別個の法人へとその在り方を根本的に変更し、そのための法整備を行うという政府の方針を示したものである。そして現在、同有識者懇談会が最終報告をまとめようとしている。

学術会議は、科学者を構成員としてその研究成果を持ち寄り、時の政治権力から独立して、科学的根拠に基づく政策提言を政府に対して行うナショナル・アカデミーであり、その独立性及び自律性は憲法23条に由来する。それゆえ、当連合会は、これまでも、政府が学術会議の独立性と自律性を尊重し、その侵害となるような会員選任過程への介入を行わないことを求めてきた(2020年10月22日「arrow_blue_1.gif日本学術会議会員候補者6名の速やかな任命を求める会長声明」、2021年11月16日「arrow_blue_1.gif日本学術会議会員任命拒否の違法状態の是正を求める意見書」、2023年2月28日「arrow_blue_1.gif政府の「日本学術会議の在り方についての方針」に反対する会長声明」)。

しかし、大臣決定は、学術会議の独立性の担保のための法人化といいながら、学術会議の業務、財務及び幹事会構成員の業務執行の状況を監査する監事の任命権を主務大臣に付与し、また主務大臣が任命する外部の有識者で構成される「日本学術会議評価委員会(仮称)」が業務執行、組織及び運営等の総合的な状況について、中期的な計画の期間ごとに評価を行うとしており、学術会議の独立性及び自律性の尊重に逆行している。会員選考についても、選考に関する方針等を策定する際に外部の有識者からなる「選考助言委員会(仮称)」の意見を聴くこととされている。同委員会の構成員の任命権は会長にあるとされているものの、制度設計や運用次第で当該任命権に制限がつかない保証はなく、また監事や評価委員会、さらに過半数は外部の者で構成される「運営助言委員会(仮称)」の設置も併せ、学術会議の運営過程を通じた会員選任過程への間接的な介入のおそれも否定し難い。

また、大臣決定は、学術会議に財政基盤の多様化を求めた上で、必要な財政的支援を行うとしているが、国による財政支出が抑制され、政府への勧告等の学術会議の機能を果たすために必要な財政基盤が不安定になるおそれがある。

いま、学術会議は大きな岐路に立たされている。学術会議の政府等からの独立性と自律性の確保は、ナショナル・アカデミーとしての生命線であり、これを損なう政府の行為は、学術の世界への政治的判断の介入として極めて憂慮すべき事態であって、それは学問の自由に対する重大な脅威ともなりかねない。

学術会議も、本年4月23日、大臣決定を懸念する総会の声明を発表し、法人化が必ずしも自律性・独立性の強化を意味するものではないとし、必要なのは、安定した財政基盤の保証、組織・制度における政府からの自律性・独立性の担保、そして会員選考及び選考方法の決定は学術会議が自ら行うべきことであると表明した。そして、「万が一にもその75年にわたる歴史が途切れること」への危機をも指摘している。また、本年6月10日には前会長を含む学術会議の歴代会長6名が政府方針の見直しを求める声明を発するなど、大臣決定への強い批判も関係者から表明されている。

よって、当連合会は、政府に対し、学術会議の独立性・自律性を侵害するおそれのある大臣決定に反対しその撤回を求めるとともに、2020年10月の学術会議会員候補者6名の任命拒否問題の是正を含めて、学術会議との関係を正常化し、改めて学術会議の独立性と自律性を尊重し、相互の信頼関係を構築することを求める。」

谷直樹

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by medical-law | 2024-06-20 16:29 | 弁護士会