45分間の食道挿管と死亡との因果関係を否定(報道)
因果関係がなければ注意義務違反があっても賠償責任が生じないのが民法上の原則です。
呼吸運動や肺の酸素化障害により生命が維持できない場合の食道挿管では肺に酸素が供給されず呼吸不全は改善しないため、45分その状態が続いたために死亡に至った可能性が考えられます。ただ、食道挿管でなくても死亡に至った可能性が高い場合は、食道挿管と死亡との因果関係を立証することは難しいでしょう。
チューブを食道ではなく気道に入れるための操作手順が定められています。正しい姿勢で喉頭蓋が見えるようにし喉頭後部の構造が見え確実に気管へ挿入できる状態でチューブを進めるなど、定められた手順で挿管を行う注意義務があります。食道挿管になったということは、具体的な手順のどこかに注意義務違反があることが多いと思います。また、挿管後の確認義務があります。適切に確認が行われていれば食道挿管であることがわかったはずです。
さらにそもそも気道異物による呼吸困難であったとすれば、具体的な状況において気管挿管という判断が適切だったかも問題になりえます。
この食道挿管事故を検討分析することで、今後のための教訓が導き出せるように思います。
なおこの報道の件は私が担当したものではありません。
テレビユー山形「チューブを気管ではなく誤って食道へ・・・呼吸困難患者の救急対応時にミス 患者はその後死亡確認も医師は因果関係なしと判断」(2024年6月28日)御参照
谷直樹
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