弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

重複癌(中咽頭癌に重複した食道癌)の治療遅れについて

地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンターは、2024年9 月19日、そのサイトに「大阪国際がんセンター重複癌(中咽頭癌に重複した食道癌)の治療遅れについて」を掲載しました。

大阪国際がんセンターは、 中咽頭癌と食道癌の重複癌の50 代・女性の患者に、2023年5月に、まず中咽頭癌に対する化学放射線治療を施行し、その治療が終了して早期に食道癌の治療を行う方針で、2023 年 9 月頃に食道癌の治療を開始すべきところ、開始しせず、食道癌の治療開始が2024年 1 月まで遅れてしまったとのことです・

原因
(1)頭頸部外科において患者説明の有無や食道癌の治療時期についての確認を行う体制が取られていなかった。
(2)頭頸部外科・放射線腫瘍科の定例カンファレンスと、消化管内科のカンファレンスが別々に行われており、診療科間での連携体制や情報共有体制が不十分であった。

再発防止策
(1)重複癌が診断された段階で、検査依頼医が患者に対して検査結果を説明し、同時に電子カルテの患者掲示板に記載して情報共有を図る。また、連絡を受けた消化管内科は、適切な時期の再診予約を行う。
(2)頭頸部外科では重複癌症例リストを作成し、次のダブルチェックを行う。①当該診療科において、初診患者全員に対して、初診から 2 か月後に消化管内視鏡検査の有無をリストに記入する。
②当該診療科において、月別担当医が消化管内視鏡検査のうち、生検の悪性所見の有無を確認し、悪性所見があればコンサルテーションや治療の有無をリストに追記し、コンサルテーション漏れがないかを確認する。
③毎週のカンファレンスで月別担当医の遂行状況を確認する。


谷直樹

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by medical-law | 2024-09-20 17:22