瀬木 比呂志氏『現代日本人の法意識』
『絶望の裁判所』(講談社現代新書)
『ニッポンの裁判』(講談社現代新書)
『黒い巨塔 最高裁判所』(講談社文庫)
『民事裁判入門――裁判官は何を見ているのか』(講談社現代新書)
『檻の中の裁判官――なぜ正義を全うできないのか』(角川新書)
等の著書で知られています。
2024年11月21日発売の『現代日本人の法意識』(講談社現代新書)の目次は次のとおりです。
「まえがき「法意識」とは何か?
第1章 「現代日本人の法意識」について考えることの意味
日本における近代的法意識の未熟さ/法の歴史における切断/法と人々の法意識の間の溝、ずれ/法は社会と制度の基盤
第2章 日本法の歴史とその特質
1古代から現在まで古代から近世まで 西欧法の概要と日本法との相違/原日本法と「ノリ」/律令制とこれに先立つ十七条憲法/鎌倉時代から江戸時代まで/江戸時代庶民の法意識は高かった?
2江戸時代の民事訴訟に関する実証的研究江戸時代庶民の法意識は高かった/訴訟の実際と現代日本にも通じる諸要素/右の研究から学ぶべき事柄
3 明治時代以降
明治時代/第二次世界大戦後
第3章 婚姻、離婚、親権、不貞、事実婚、同性婚をめぐる法意識
1 婚姻、離婚、共同・単独親権をめぐる法意識
離婚できる要件に関するルールと法意識/離婚給付に関する法意識/離婚についての国家のチェックと法意識/共同親権論争と法意識/家裁の問題/政治家の横暴/改正法の含む問題
2 不貞をめぐる法意識
不貞をめぐる法と法意識/不貞の生物学的根拠と法のあり方
3 事実婚、同性婚をめぐる法意識
事実婚に関する法意識/同性婚と人間の性的指向/同性婚に関する法意識、同性婚と子の問題/家族法領域の諸問題と日本人の法意識
第4章 犯罪と刑罰・死刑をめぐる法意識ー応報的司法から修復的司法へ
1 犯罪と刑罰の意味ー実は、考えてみるべきことが多い
犯罪と刑罰/犯罪概念の相対性、犯罪と道徳/犯罪の社会学的なとらえ方
2 自由意思と責任
刑法の基礎にある自由意思の問題
3 応報的司法と修復的司法
犯罪者と私たちを隔てる壁は、本当は薄い/応報的司法と修復的司法/日本における犯罪者処遇のあり方
4 現代の世界において死刑は正当化されうるのか?
死刑に関する法意識/法に必要なマクロの視点、そして現代日本人が失いつつある慈悲の心/犯罪と刑罰に関する日本人の法意識
第5章 冤罪をめぐる法意識、刑事裁判官・検察官のあり方
冤罪に関する日本特有の問題/冤罪防止のためのシステムや取り組みの欠如/検察官の「法意識」/特捜検察の問題/刑事系裁判官の「法意識」/冤罪に関する人々の法
意識
第6章 権利、所有権、契約、民事訴訟をめぐる法意識
法と権利 権利は「公共的正義」の割当分/所有権に関する法意識/契約に関する法意識/日本人のあいまいな法的意識の「深層」/民事訴訟日本人は「裁判嫌い」なのか?」
瀬木氏は次のとおり述べます。
「法学者・元裁判官である私が、法律のプロフェッショナルですら満足に答えられないような曖昧模糊とした「法意識」に焦点を合わせた一般向けの書物を執筆したのは、日本固有の法意識、日本人の法意識こそ、私たち日本人を悩ませる種々の法的な問題を引き起こす元凶の一つにほかならないと考えるからだ。
そればかりではない。意識されないまま日本人の心理にべったりと張り付いた日本的法意識は、日本の政治・経済等各種のシステムを長期にわたってむしばんでいる停滞と膠着にも、深く関与している可能性がある。その意味では、本書は、「法意識」という側面から、日本社会の問題、ことに「その前近代的な部分やムラ社会的な部分がはらむ問題」を照らし出す試みでもある。」
谷直樹
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