弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

大学病院が画像診断レポートの確認不足による肺癌の確定診断及び治療の遅延を公表

神戸大学医学部附属病院は、令和6年12月6日、下記のとおり画像診断レポートの確認不足による肺癌の確定診断及び治療の遅延を公表しました。

1. 事案の概要
患者さんは 70 歳代の女性です。2016 年に当院で心臓血管疾患の入院加療以降、定期的に CT で画像による同疾患の経過観察を行っておりました。2016 年入院時の CTにおいて、右肺下葉末梢に限局性の網状陰影を認めており、この時点では炎症性変化と判断していました。しかし経過中に同部位の陰影が緩徐に増大傾向を認め、2022 年10 月と 2023 年 10 月の CT において放射線科読影医は、肺癌の鑑別を要する病変と指摘していましたが、外来担当医は二度にわたり画像診断レポートの確認を怠り、適切な対応が取れていませんでした。かかりつけ医より肺癌の疑いで当院呼吸器内科に紹介となり、当該事例が発覚しました。
今回の事例は、早期に対応していれば、比較的早期の肺癌として手術等の治療ができていた可能性が高いと考えます。事例発覚時には進行癌の状態であり、根治治療の実施の機会を失う結果となってしまいました。

2. 対応と再発防止策
医療の質・安全管理部を中心に院内で医療事故の原因分析を行い、下記の如く再発防止策を立案し、改善に努めています。
① 既存の「画像検査レポート未読対策アプリ」の使用を徹底する。
② 各診療科に配置した画像診断レポート未読対策責任者の役割を再周知しマニュアルに明文化する。
③ 医療の質・安全管理部が定期的に画像診断レポートのうち重要所見があるものについては、適切に対応できているかを監査する。
上記対策を講じたことによって、本院における画像診断レポートの確認は適切に行われております。
この度は、患者さん、ご家族の方々には心身ともに多大な苦痛をおかけしたことを反省し、謝罪申し上げます。また、関係者の皆様に、多大なる不安、不信感をお与えしてしまったことについて、改めて心よりお詫び申し上げます。今後、同種の事故を繰り返さないようー層安全で確実な医療の提供に努めてまいります。」



谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓
にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ


by medical-law | 2024-12-09 12:18 | 医療事故・医療裁判