弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

大阪高裁令和7年1月20日判決 11歳の聴覚障害者が亡くなった事案で健常者と同じ逸失利益を認定(報道)

11歳の聴覚障害者が亡くなった事案で、1審の大阪地方裁判所は「逸失利益」を平均賃金の85%と認定しましたが、大阪高裁令和7年1月20日判決(徳岡由美子裁判長 司法修習39期)は、1審判決を変更し、聴覚障がい者の「失利益」を健常者と同じ基準で認めました。学年相応の学力やコミュニケーション能力を身につけていたこと、聴覚障害者をめぐる社会情勢も変化しデジタル技術の進歩によって、将来、健常者と同じ職場で同じ条件で働くことができたと考えられることを指摘し、労働能力に制限があるとはいえないとしました。
これは私が担当した事件ではありません。
裁判所は、障がい者の逸失利益を低く算定する傾向がありましたが、不合理な差別が未来永劫に続くと考えるのはおかしく、結果として司法が差別に加担することになることも法と正義に反すると思いますので、この高裁判決で流れが改められることを期待します。
徳岡由美子判事は、大阪地裁医療集中部にいたことがあり、この画期的で正当な高裁判決につながったように思います。

NHK「聴覚障害の子の逸失利益 健常者と同じ基準と判断 大阪高裁」(2024年1月20日)御参照

【追記】上告はなく、大阪高裁判決が確定しました。

谷直樹

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by medical-law | 2025-01-21 10:07 | 司法