弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

東京高裁令和7年1月31日判決 当時の最高裁判所長官が評議の内容を外国に伝えたことを裁判所の公平らしさに疑念を抱かせるおそれがあると判示(報道)

田中耕太郎最高裁判所長官が判決の前にアメリカの駐日大使や公使と非公式に会談していたことから、砂川事件の被告人らが国家賠償等を求めていた件で、東京高裁令和7年1月31日判決(後藤健裁判長 司法修習41期)は、田中長官の行動は、裁判の評議の内容に関わる問題を伝えるもので、裁判所の公平らしさに疑念を抱かせるおそれがあり、不適切だったとしながらも、伝えた内容が公平性、客観性に影響するとまではいえないとし、請求を棄却しました。

NHK「砂川事件 当時の最高裁長官の行動“不適切”指摘も訴え退ける」(2025年1月31日)御参照

最高裁昭和34年12月16日大法廷判決は、判決前に米国に述べたとおり、少数意見がでないように田中長官がまとめ、自ら補足意見を書いたものです。そのため統治行為論に自由裁量論を組み合わせたすっきりしない判決でした。その後の最高裁判所昭和35年6月8日大法廷判決は、純粋な統治行為論による判決でした。少数意見が付されていました。

谷直樹

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by medical-law | 2025-02-01 23:46