弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

日弁連「今国会での再審法改正の実現を求める会長声明」

日本弁護士連合会は、2025年2月26日、「今国会での再審法改正の実現を求める会長声明」を発表しました。

「「えん罪被害者のための再審法改正を早期に実現する議員連盟(再審法改正議連)」(会長:柴山昌彦衆議院議員)は、本日、総会を開催して、刑事再審に関する刑事訴訟法の一部を改正する法律案骨子たたき台(以下「再審法改正案」という。)の取りまとめを行うとともに、今国会(第217回国会)に再審法改正法案を提出し、その成立を目指す方針を確認した。

当連合会は、再審法改正議連が昨年3月に発足して以来、党派を超えた過半数以上の国会議員が同議連に参加し、えん罪被害者、最高裁、法務省、当連合会等からのヒアリングや改正内容・法文案の検討など、積極的な活動を重ねた上で、この度の再審法改正案の取りまとめ及びその提出方針の決定にまで至ったことについて、深い敬意の念を表する。

今回、再審法改正議連が取りまとめた再審法改正案は、①再審請求審における証拠の開示命令、②再審開始決定に対する検察官の不服申立ての禁止、③再審請求審等における裁判官の除斥及び忌避、④再審請求審における手続規定の整備を内容とするものである。これら4項目は、改正の必要性、緊急性が高いものであり、改正すべき内容も十分に明確なものである。

現状では、えん罪を晴らすために人生の大半を費やすほどの長い時間を要しており、えん罪被害者やその家族の高齢化が深刻な問題となっている。このような長期化の原因となっている再審法の不備を是正するため、再審法改正にはもはや一刻の猶予も許されない。この一年間でも、静岡4人強盗殺人・放火事件(いわゆる「袴田事件」)や福井女子中学生殺人事件などの著名えん罪事件を通じて、再審法の不備が改めて明らかになったこともあり、再審法改正の速やかな実現を求める世論も、かつてないほど高まっている。この国民世論に応えるべく、再審法改正議連は、今まさに立法府としての責務を果たそうとしている。

ところで、本年2月7日、鈴木馨祐法務大臣が再審制度の見直しを法制審議会に諮問する方針を表明するに至った。

再審法に関しては、喫緊の課題である上記4項目以外にも、例えば再審開始事由の拡大、再審請求審における国選弁護制度、再審請求審の審理の公開、刑の執行停止(死刑確定者に対する拘置の執行停止を含む。)等、あるべき再審法に向けて検討すべき項目は多い。そして、これらの項目について、法制審議会において、えん罪被害者やその支援者、弁護人の意見も聞いた上で、えん罪被害の深刻さや再審事件の審理の実情を踏まえ、えん罪被害者の速やかな救済のための再審制度の構築に向けて迅速かつ真摯な議論が広く行われるのであれば、当連合会としても、その役割と責任を果たす所存である。しかし、前述したとおり、上記4項目の改正は一刻の猶予も許されないものであるから、法制審議会において年単位での検討を行うことは相当でない。

当連合会は、えん罪被害者の速やかな救済のために、再審法改正議連が取りまとめた再審法改正案が現在開会中の第217回国会において速やかに審議され、再審法の改正が実現されることを求める。」




谷直樹

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by medical-law | 2025-02-27 10:54