大学病院でステントグラフト抜去に用いたチューブの遺残事故
秋田大学医学部附属病院は、2025年2月28日、そのサイトに「秋田大学医学部附属病院において発生した医療事故と再発防止について」を掲載しました。
「【経緯】
患者様は本県在住の 60 歳代の男性で,腹部大動脈瘤に対してこれまでに複数回ステントグラフト挿入術が施行されていました。今回,腹痛などで当院に救急搬送され,残存していた腹部大動脈瘤の感染疑いと切迫破裂の診断で直ちに緊急手術を施行いたしました。手術中,腹部大動脈瘤の感染が確定したため,以前に挿入したステントグラフトの抜去を要しました。その際、大動脈壁との強固な癒着をはがすため,長さ約 50mm,外径約 14mm のビニール製チューブを使用して抜去しました。チューブはその後,回収すべきものでしたが,抜去時に出血が多かったこともあり,回収しないまま手術を終えました。手術後の CT 検査にて,体内にステントグラフト抜去に用いたチューブの遺残を認めたため,患者様及びご家族様に対しチューブ遺残の事実及びチューブ摘出手術の必要性についてご説明し,摘出手術のご同意をいただきました。
チューブ遺残発見翌日(緊急手術術後 11 日目)にチューブ摘出手術を行い,当初の感染の治療も行い,患者様は約一か月後に退院となりました。
【原因】
今回は感染性大動脈瘤であったため,ステントグラフトを全て抜去する必要がありました。大動脈壁とステントグラフトとの癒着が強固であったため,大動脈壁の損傷を防ぐためチューブを使用してステントグラフトを萎ませることにより抜去しました。その際,一時的に大動脈からの大量出血があり,対応に注力したため,チューブ未回収に気づかないまま手術を終了しました。
また,使用したチューブは,通常のレントゲン写真に写らない材質のため,CT を撮るまで発見することができませんでした。
【再発防止策】
今回の事故を踏まえ,以下の再発防止策を講じます。
① 大動脈からの出血をコントロールしやすいステントグラフト抜去方法の検討
胸部下行大動脈の大動脈遮断用バルーンを挿入して抜去時の出血を防ぐ方法や人工心肺を用いて超低体温循環停止を用いた方法を検討する。
② 手術中の確認徹底のための対応
緊急手術であっても,術中使用・回収物品リストへの記載を確実に行い,閉腹前に回収を確認する。チューブを使用してステントグラフト抜去を行う場合は,レントゲンに写る素材のチューブに紐をつける,もしくは,15cm 以上の長く留置不可能なものとするなどの工夫をする。」
谷直樹
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「【経緯】
患者様は本県在住の 60 歳代の男性で,腹部大動脈瘤に対してこれまでに複数回ステントグラフト挿入術が施行されていました。今回,腹痛などで当院に救急搬送され,残存していた腹部大動脈瘤の感染疑いと切迫破裂の診断で直ちに緊急手術を施行いたしました。手術中,腹部大動脈瘤の感染が確定したため,以前に挿入したステントグラフトの抜去を要しました。その際、大動脈壁との強固な癒着をはがすため,長さ約 50mm,外径約 14mm のビニール製チューブを使用して抜去しました。チューブはその後,回収すべきものでしたが,抜去時に出血が多かったこともあり,回収しないまま手術を終えました。手術後の CT 検査にて,体内にステントグラフト抜去に用いたチューブの遺残を認めたため,患者様及びご家族様に対しチューブ遺残の事実及びチューブ摘出手術の必要性についてご説明し,摘出手術のご同意をいただきました。
チューブ遺残発見翌日(緊急手術術後 11 日目)にチューブ摘出手術を行い,当初の感染の治療も行い,患者様は約一か月後に退院となりました。
【原因】
今回は感染性大動脈瘤であったため,ステントグラフトを全て抜去する必要がありました。大動脈壁とステントグラフトとの癒着が強固であったため,大動脈壁の損傷を防ぐためチューブを使用してステントグラフトを萎ませることにより抜去しました。その際,一時的に大動脈からの大量出血があり,対応に注力したため,チューブ未回収に気づかないまま手術を終了しました。
また,使用したチューブは,通常のレントゲン写真に写らない材質のため,CT を撮るまで発見することができませんでした。
【再発防止策】
今回の事故を踏まえ,以下の再発防止策を講じます。
① 大動脈からの出血をコントロールしやすいステントグラフト抜去方法の検討
胸部下行大動脈の大動脈遮断用バルーンを挿入して抜去時の出血を防ぐ方法や人工心肺を用いて超低体温循環停止を用いた方法を検討する。
② 手術中の確認徹底のための対応
緊急手術であっても,術中使用・回収物品リストへの記載を確実に行い,閉腹前に回収を確認する。チューブを使用してステントグラフト抜去を行う場合は,レントゲンに写る素材のチューブに紐をつける,もしくは,15cm 以上の長く留置不可能なものとするなどの工夫をする。」
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by medical-law
| 2025-03-03 00:07
| 医療事故・医療裁判

