弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

川崎市が病院に対する立入検査の結果について公表

川崎市 (健康福祉局 )は、令和7年5月23日、「川崎市立多摩病院に対する立入検査の結果について」を発表しました。
平成29年1月に発生した川崎市立多摩病院における「透析薬誤投与による患者死亡事故」について、医療法で義務付けられている「医療事故調査・支援センター」への医療事故の報告が行われていなかったことが令和5年3月3 日に判明した件です。


「3 立入検査において確認した事項
(1) 本死亡事故を含むすべての死亡事例について、院内での報告や検討が適切に行われていることを院内の規程、記録及び職員のヒアリングから確認しました。
(2) 本来、センターへの報告に当たっては医療法に基づき遺族への説明をすることとされていますが、当該病院が本死亡事故をセンターに報告しなかった理由として、不要である遺族の了解を得ることが必要だと認識していたことを院内の記録から確認しました。
(3) センターに未報告の医療事故は本死亡事故のみであり、本件についても発覚後、令和7年3月11日に報告済みであることを院内の記録から確認しました。
なお、本死亡事故以外は適切にセンターへ報告されていたため、遺族了解の有無については確認する必要がありませんでした。
(4) 医療事故の報告に係る院内規程は定められていましたが、その中の「患者死亡時の対応フロー」(以下、「フロー」という。)において、本来はそれぞれ独立して判断するべき医療事故調査制度に基づくセンターへの報告と医師法に基づく異状死の届出の流れが混在していました。その結果、死亡事例についてはすべて医療事故調査制度の対象か検討すべきところ、医師法に基づく異状死の届出を行って警察対応となった場合には、検討の対象外となる不正確な記載があることを確認しました。
(5) 新たなチェックリストの作成やシステム改修といった再発防止策が講じられているとともに、これらがマニュアル化されて職員に周知されており、適正に運営されていることを確認しました。

4 指導事項
院内規程中のフローについて、医療事故の報告に当たって遺族の了解を得る必要はないことや、医療事故調査制度と医師法に基づく異状死の届出とは切り離して判断するといった医療法の規定に沿った内容に速やかに見直し、院内に周知することを令和7年3月26日付けで文書により当該病院長宛て指導しました。

5 改善状況等
当該病院長から令和7年4月8日付けで、フローから異状死の届出の部分を削除し、医療事故の報告に当たって遺族の了解は不要であり、死亡事例はすべて医療事故調査制度の検討対象とするといった修正を行い、院内に周知したとの改善報告書が提出されました。
令和7年5月1日に実施した第3回立入検査において、院内規程中のフローが修正版に差し替わっていることを確認しました。

6 今後の対応
(1) 市立多摩病院に対して、定期立入検査を通じて医療事故がセンターへ適切に報告されているかを院内の規程や職員のヒアリングによって改めて確認し、強く再発防止を促してまいります。
(2) 同様事例の未然防止のため、医療事故調査制度の適正な運用について、市内関係団体に対する通知の発出や医療機関への定期の立入検査を通じて注意喚起してまいります。」



谷直樹

ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
  ↓
にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ


by medical-law | 2025-05-25 18:35 | 医療事故・医療裁判