弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

福岡高裁令和7年6月11日判決、胃潰瘍を胃がんと誤診して手術した件で医療センターを運営する法人にも賠償責任を認める(報道)

熊本市の女性(74)は、2015年、別の病院で胃がんと診断され、熊本市医師会が運営する熊本地域医療センターで手術を受けましたが、その後に胃がんではなく胃潰瘍だったと判明しました。
この件について、1審の熊本地裁令和6年5月10日判決(品川英基裁判長)は、最初に受診した病院から依頼を受け、検体を検査した病理医のみに過失があるとし約1250万円の賠償を命じましたが、熊本市医師会などへの請求は棄却しました。
福岡高裁令和7年6月11日判決(松田典浩裁判長)は、原判決を変更し、胃がんと診断した病院を運営する医療法人と同医師会の注意義務違反も認め、いずれの注意義務違反が一つでもなければ全摘はなかったと結果との因果関係も認定し、 約1640万円を連帯して賠償するように命じました。
松田典浩裁判長は、以前、東京地裁医療集中部にいた裁判官です。
判例雑誌に掲載されたら是非読みたい判決です。
この件は私が担当したものではありません。

読売新聞「胃がんと誤診し全摘、高裁が1640万円に増額し賠償命令…病理医だけでなく熊本市医師会などの過失も認定」(2025年6月12日)ご参照

谷直樹

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by medical-law | 2025-06-12 11:44 | 医療事故・医療裁判