弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

令和3年10月11日に発生した医療事故の医療事故調査・支援センター調査報告書の公表

神奈川県立こども医療センターは、令和7年6月 17 日、「令和3年10月11日に発生した医療事故の医療事故調査・支援センター調査報告書」を公表しました。ただ、黒塗りが多くわかりにくい印象があります。

「●死因
死因は、循環血液量減少性ショックをベースとした敗血症性ショックの可能性が高いと推測する。死因にはいくつかの原因が複合的に関わっていると考えられるが、特定することは困難であった。

● 医療機関に向けての提言
(1) 複数の併存症がある患者の高侵襲な手術後の管理を、経験の浅い医師が行う場合、上級医は患者について積極的に情報を共有し、診療科内の医師と共に治療方針について検討するなど、体制を見直すことが求められる。また、主科、併存症に関係する診療科、救急科の医師などがチームを組み、術前にカンファレンスなどで患者情報を共有した上で管理を行うことが望ましい。
(2) 長時間の手術後や術後合併症の発症が予測される場合には、治療方針、観察ポイント、医師への報告基準など術後の管理体制について検討し、医師・看護師間で共有することが求められる。特に、術後の検査や約束指示については、具体的な取り決めを作成することが望ましい。また、術後早期に何らかの理由で動脈ラインを抜去した場合には、可能な範囲で再挿入すること、*********を挿入している患者の****には、*********などの必要な医療デバイスをチームで情報共有・協議の上、予め準備しておくことが望ましい。
(3) 急変時に「心肺蘇生フローチャート」に則った対応が行えるよう、院内におけるシミュレーショントレーニングの実施体制を整備すること、ショックの病態について、研修会や勉強会などを通して再認識し、適切な判断ができるような教育体制を構築することが求められる。また、異常事態を早期発見できるような院内のプロトコールを構築すると共に、緊急応援要請体制の見直しが求められる。
(4) HCUから一般病棟に転棟する際には、患者の状態やそれに対する治療などの情報を共有した上で必要な検査を行い、転棟が可能な状態かを判断することが求められる。合わせて「患者にどのような変化があった場合にHCUに再入室するか」に関して、医師・看護師を含めた診療チーム全体で共有することが望ましい。
(5) ICの際に用いられる定型の説明・同意書には、手術以外の治療選択を記載した上で説明すること、家族の相談内容や理解度について診療記録に記載することが求められる。また、術後に想定外の症状が持続し、家族から不安の訴えがある場合には、医師と看護師が患者の病状や家族の訴えを共有し、速やかに病状説明が行えるような体制の構築が求められる。」


https://kcmc.kanagawa-pho.jp/data/media/kanagawa-pho/page/info/news/20250617/02_20250617center-report.pdf


谷直樹

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by medical-law | 2025-06-18 12:19 | 医療事故・医療裁判