弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

兵庫県病院局が2件の医療事故を公表

兵庫県病院局企画課は、2025年7月23日、以下の2件の医療事故を公表しました。

「第1 気管支の分岐部を食道と気管の分岐部と誤認し、気管支内でバルーンを膨らませ気管支を亀裂損傷させた事故

1 事故の概要
・令和7年2月、他院で出生後、先天性食道閉鎖症の手術のためこども病院へ転院し、転院当日、手術を実施。
・患者は食道と胃が接続しておらず、食道と気管が分岐結合していたことから、この手術ではまず、この結合部を一旦切り離すため、口から気管内にカテーテルを挿入し、切り離し施術後に気管から空気漏れが生じないよう、分岐部でバルーンを膨らませた。
・次に、患者の食道と気管を切り離す等の施術のため、胸部を開胸したが、その際、バルーンを膨らませるべき位置が、食道と気管の岐部の正しい位置ではなく、気管支内で膨らんでいたことにより、気管支を亀裂損傷させていることが判明。
・このため、手術を一旦中断し、気管支の治癒を待つため、後日再手術することとなった。(R7.5 再手術実施)

2 事故の原因
・医師は事前に口からカメラを挿入し、バルーンを膨らませる位置を確認していたが、その際、気管支の分岐部を食道と気管の分岐部と誤認した。
・カメラによる正確な位置確認や食道と気管の内部構造(表面の模様)など、複数の視点からバルーンを膨らませる位置を慎重に確認するための手順が定められていなかった。

3 対応策
・カメラで施術部を確認する際、気管と食道の分岐部の位置だけでなく、気管支の分岐部など全体的な位置把握や、気管や食道の内部構造(表面の模様)を観察するなど施術前の確認手順マニュアルを作成し、再発防止を徹底する。


第2 CV ポート設置手術の際カテーテルがしっかりと血管内に設置されていなかったため、胸腔内に抗がん剤が漏出した医療事故

1 事故の概要
・令和7年4月、子宮体がん術後の再発防止を目的とした抗がん剤治療のため、CV ポート設置手術を実施。
・CV ポート設置手術の際、医師はカテーテル内の逆血確認※2やレントゲン撮影を行い、カテーテルが血管内に正しく設置できたと判断し、手術を終了して患者は退院。
・数日後、外来で抗がん剤投与する際、看護師がカテーテル内の逆血を確認できなかったため、看護師は医師にその旨を報告したが、医師は CV ポート設置手術時に、カテーテルを正しく血管内に挿入できたと判断していたため、そのまま看護師に抗がん剤投与を指示。
・抗がん剤投与後、患者は一旦帰宅したが、その夜、胸痛が出現したため救急外来を再受診。CT 撮影したところ、血管内からカテーテルの先端が逸脱しており、胸腔内に抗がん剤が漏出していたことが判明。患者は胸腔内に重度の炎症があるため、同日緊急入院した。

2 事故の原因
・CV ポート設置手術の際、逆血確認等が不十分であり、カテーテルがしっかりと血管内に設置されていなかった。
・抗がん剤投与前の逆血確認の際、逆血が無かった場合等の対応方法が定められていなかった。

3 対応策
・CV ポート設置手術の際、逆血確認を施術中に複数回行うとともに、レントゲン撮影についても、状況に応じて複数方向から撮影することをマニュアルに明記する。
・抗がん剤投与の際、その都度逆血確認を行い、逆血が無かった場合等の異常時の対応方針(確認手順)を作成する。
・上記について、院内の関係職員に周知し、再発防止を徹底する。」

https://web.pref.hyogo.lg.jp/bk01/documents/iryoujiko250723.pdf

谷直樹

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by medical-law | 2025-07-30 06:49