弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

第5回「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」

令和7年10月22日の「第5回高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」の資料1は、今後の医療保険精度改革の具体的な方向性を知るうえで重要と思います。

https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001583582.pdf

「これまでの専門委員会における主な御意見を踏まえた今後の議論 案 )」は、次のようにまとめています。

「○ 「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」のこれまでの議論において、高額療養費制度は、セーフティネット機能として患者にとってなくてはならない制度であり、また、諸外国と比べてもこのような恵まれている制度を擁している国はほとんどなく、今後もこの制度を堅持していく必要性について認識の一致が見られた

○ こうした共通認識の下で、高齢化の進展や医療の高度化、高額医薬品の開発などが今後も見込まれる中で、また、現役世代の保険料負担に配慮する必要がある中で、制度改革の必要性は理解するが、その際には、(この専門委員会の所掌を超えることになるが、)高額療養費制度だけではなく、他の改革項目も含め、医療保険制度改革全体の中で全体感を持って議論していくことが必要という点も共通していた。

○ その上で、これまでの議論を踏まえると、高額療養費制度の在り方の検討にあたっては、例えば、以下の諸点について更に議論を深める必要があるのではないか。
・ 現行制度においても、患者によっては医療費負担が極めて厳しい状況にあるという意見があった一方で、医療費が増大する中において、制度を将来にわたって維持し、かつ、現役世代の保険料負担への配慮の必要性なども踏まえると、低所得者の方や長期にわたり継続して治療を受けている患者の負担に配慮しつつ、負担額の一定の見直しは必要ではないかといった意見もあった。また、高額療養費制度における応能負担の在り方についてどう考えるか、更には、制度を見直す際は、仮のモデルを設定した負担のイメージやデータを踏まえる必要があるという意見もあった。これらを踏まえ、高額療養費制度における給付と負担の在り方についてどのように考えるか。
・ 仮に自己負担限度額を引き上げるとした場合、限度額に到達せず、多数回該当に該当しなくなり、負担が急激に増加する事例が発生する可能性がある、また、長期にわたり継続して治療を受ける患者の経済的負担に配慮し、例えば、患者負担に年間上限を設けてはどうかという意見もあった。これらを踏まえ、高額療養費制度を見直す場合に留意すべき点として、どのような制度的配慮が必要か。
・ 現行の高額療養費制度においても、例えば、加入する保険者が変わった場合に多数回該当のカウントが引き継がれない、現物給付化されていることで費用総額が見えにくくなっているため、制度を意識する機会が少ない、また、コスト意識という面での課題を指摘する意見もあった。これらを踏まえ、現行制度における課題への対応として、運用面を含めどのような対応が考えられるか。」



谷直樹

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by medical-law | 2025-10-22 23:01 | 医療