弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

県立病院で誤って他患者の生検病理結果を用いた診断が行われ、経過観察が妥当な患者に前立腺全摘出術施行(報道)

千葉県がんセンターは、令和7年に誤って他患者の生検病理結果を用いた診断が行われ、経過観察が妥当な患者に前立腺全摘出術を施行したアクシデントが発生したことを発表しました
生検担当医師は患者Bの生検病理結果を患者Aの電子カルテに貼り付けたとのことですが、どうしてこのようなことがおきたのでしょうか
患者Aの電子カルテを閉じてから患者Bの電子カルテを開けば起きないはずのミスですが、誤って患者Aの電子カルテを再び開いてしまったのでしょうか
確認のシステムはなかったのでしょうか

【事案の概要】

患者は、県内在住の60歳代男性。
令和7年(2025年)、前立腺がんの疑いのある患者A(当該患者)に対して前立腺 生検を施行した。生検病理結果は「がんはない」であり、腫瘍マーカー(※2)は高値であるが、経過観察が妥当であった。
生検後、生検担当医師は患者A(当該患者)の電子カルテに患者Aの生検病理結果 データを貼り付けたのち、患者Bの「がん」を示す生検病理結果を誤って患者Aの電子カルテに貼り付けた。
電子カルテでは最新情報が画面の上部に表示されるため、主治医は別患者Bの生検 病理結果を患者Aの生検病理結果と認識し、治療方針を検討した。その結果、患者Aは経過観察が妥当であるところ、高リスクの前立腺がんと診断され、ロボット支援下前立腺全摘術及び骨盤内リンパ節郭清術(※3)を受けた。
手術で摘出した(患者Aの)組織の病理像(がん)と、術前生検病理結果とが大きく 異なることに対して主治医が疑義を持ち、電子カルテを調べたところ、生検病理検査結果の取り違えが発生したことが分かった。

【今後の対応】

患者ご本人に対し説明を行い、併せて謝罪をし、賠償について協議をしていくこととしました。
生検病理結果を電子カルテに貼り付ける際の患者確認、主治医による生検病理結果の原本確認を徹底することとしました。
外部委員等で構成する院内医療安全調査委員会を設置し、原因究明及び再発防止策等の検討を行います。

 *調査終了後、個人情報が特定されない形で調査報告書を公表する予定です。

注釈
※1 患部の一部を切り取って調べる検査
※2 がん細胞が産生したり、がんによって引き起こされたりする物質の総称で、血液検査などで測定する
※3 がんの周辺のリンパ節を切除すること




谷直樹

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by medical-law | 2026-02-07 10:47 | 医療事故・医療裁判