日弁連「民法等(成年後見等関係)の改正に関する要綱に対する会長声明」
日弁連は、2026年2月12日 、「民法等(成年後見等関係)の改正に関する要綱に対する会長声明」を発表しました
2026年2月12日、法制審議会は、「民法等(成年後見等関係)の改正に関する要綱」(以下「要綱」という。)を取りまとめた。
要綱は、本人の意思を十分に踏まえ、適切な時機に必要な範囲と期間で利用できる制度に向けて、必要性の原則を採用することにより包括的代理権等の付与を廃止して補助制度への一元化を図り、必要性がなくなれば終わることができる制度とした。このことは、当連合会が求めてきたものであり、高く評価できるものである。また、これまでの実務において指摘されてきた課題を解消するため、「本人の利益のため特に必要がある」という事由を新たに設けて補助人の交代をしやすくしたこと、また、本人の意向を把握するようにしなければならないことを定めて本人の意思尊重義務をより重視することを明らかにしたこと等についても評価する。
ただし、例外的に、事理弁識能力を欠く常況にある者を対象に、必要性がある場合に限り、類型的な取消権を有する特定補助人を付する処分を設けた。この点、法制審議会民法(成年後見等関係)部会において審議の最終段階まで導入の是非について意見が分かれたところであり、限定的かつ厳格な実務運用及び同処分の将来的な規定の要否について、政府における検証が求められる。また、障害者権利条約第12条との関係では、引き続き検討すべき制度上の課題が残されていると言える。
要綱どおりの改正がなされた場合、今後は、補助人による年一回の定期報告に基づいて、必要性に関する定期的な司法審査が行われるところ、この司法審査が実効的に行われ形骸化することがないようにしなければならない。法改正の趣旨を実務において実現していくために、施行に向けた様々な運用体制の整備が肝要である。診断書及び福祉的資料の内容や提供方法、審理における市町村等との連携等について、家庭裁判所や弁護士会を含め各地域の関係機関を挙げて適切に取り組んでいかなければならない。
さらに、民法等改正に伴い、関連法制や諸制度の整備も重要な課題として残されている。消費者保護法制の整備、精神保健福祉法の医療保護入院にかかる同意権者や心神喪失者等医療観察法の保護者に後見人等を含める規定の削除をはじめ、後見人等を転用していた各法制度の見直しが不可欠である。加えて、専門職が持続的に期待された役割を果たすための報酬助成制度の抜本的な見直しや、必要性に応じた柔軟な運用を可能とする家庭裁判所の人員拡充等、制度の基盤整備と財源の確保が求められている。
併せて、地域共生社会実現に向けた成年後見制度を含む総合的な権利擁護支援制度の整備のためには、民法等改正のみでは十分ではなく、意思決定支援に基づく日常的な金銭管理や生活支援を担う新たな地域福祉の仕組みが必要となる。第二期成年後見制度利用促進基本計画が想定する民法等と社会福祉法の一体的改革として、同時期に改正が見込まれる社会福祉法については、中核機関の法定化、新たな権利擁護の支援策の事業化が図られるところ、これらにつき各市町村等において具体的な体制整備が図られるために必要な人材や財源が確保されること及び権利擁護の地域連携ネットワークにおいて関係機関・関係団体がそれぞれ期待された役割を果たすための推進体制を設けることが必要である。
当連合会は、要綱に基づく改正法案の国会審議を注視するとともに、改正法案が求める運用体制の整備、各種基盤整備及び社会福祉法との一体的改革に向けて、国・地方公共団体、関係機関及び当事者団体・専門職団体と緊密な連携を図りつつ、諸課題の実現に向けて引き続き尽力する所存である。」
谷直樹
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2026年2月12日、法制審議会は、「民法等(成年後見等関係)の改正に関する要綱」(以下「要綱」という。)を取りまとめた。
要綱は、本人の意思を十分に踏まえ、適切な時機に必要な範囲と期間で利用できる制度に向けて、必要性の原則を採用することにより包括的代理権等の付与を廃止して補助制度への一元化を図り、必要性がなくなれば終わることができる制度とした。このことは、当連合会が求めてきたものであり、高く評価できるものである。また、これまでの実務において指摘されてきた課題を解消するため、「本人の利益のため特に必要がある」という事由を新たに設けて補助人の交代をしやすくしたこと、また、本人の意向を把握するようにしなければならないことを定めて本人の意思尊重義務をより重視することを明らかにしたこと等についても評価する。
ただし、例外的に、事理弁識能力を欠く常況にある者を対象に、必要性がある場合に限り、類型的な取消権を有する特定補助人を付する処分を設けた。この点、法制審議会民法(成年後見等関係)部会において審議の最終段階まで導入の是非について意見が分かれたところであり、限定的かつ厳格な実務運用及び同処分の将来的な規定の要否について、政府における検証が求められる。また、障害者権利条約第12条との関係では、引き続き検討すべき制度上の課題が残されていると言える。
要綱どおりの改正がなされた場合、今後は、補助人による年一回の定期報告に基づいて、必要性に関する定期的な司法審査が行われるところ、この司法審査が実効的に行われ形骸化することがないようにしなければならない。法改正の趣旨を実務において実現していくために、施行に向けた様々な運用体制の整備が肝要である。診断書及び福祉的資料の内容や提供方法、審理における市町村等との連携等について、家庭裁判所や弁護士会を含め各地域の関係機関を挙げて適切に取り組んでいかなければならない。
さらに、民法等改正に伴い、関連法制や諸制度の整備も重要な課題として残されている。消費者保護法制の整備、精神保健福祉法の医療保護入院にかかる同意権者や心神喪失者等医療観察法の保護者に後見人等を含める規定の削除をはじめ、後見人等を転用していた各法制度の見直しが不可欠である。加えて、専門職が持続的に期待された役割を果たすための報酬助成制度の抜本的な見直しや、必要性に応じた柔軟な運用を可能とする家庭裁判所の人員拡充等、制度の基盤整備と財源の確保が求められている。
併せて、地域共生社会実現に向けた成年後見制度を含む総合的な権利擁護支援制度の整備のためには、民法等改正のみでは十分ではなく、意思決定支援に基づく日常的な金銭管理や生活支援を担う新たな地域福祉の仕組みが必要となる。第二期成年後見制度利用促進基本計画が想定する民法等と社会福祉法の一体的改革として、同時期に改正が見込まれる社会福祉法については、中核機関の法定化、新たな権利擁護の支援策の事業化が図られるところ、これらにつき各市町村等において具体的な体制整備が図られるために必要な人材や財源が確保されること及び権利擁護の地域連携ネットワークにおいて関係機関・関係団体がそれぞれ期待された役割を果たすための推進体制を設けることが必要である。
当連合会は、要綱に基づく改正法案の国会審議を注視するとともに、改正法案が求める運用体制の整備、各種基盤整備及び社会福祉法との一体的改革に向けて、国・地方公共団体、関係機関及び当事者団体・専門職団体と緊密な連携を図りつつ、諸課題の実現に向けて引き続き尽力する所存である。」
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| 2026-02-13 10:25
| 弁護士会

