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弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

日弁連、「「ビジネスと人権」に関する行動計画改定版公表を受けての会長声明」

日弁連は2026年2月19日、「「ビジネスと人権」に関する行動計画改定版公表を受けての会長声明」を発表しました

「日本政府は、2025年12月24日、「ビジネスと人権」に関する行動計画(National Action Plan。以下「NAP」という。)の改定版を公表した。これは、ビジネスと人権をめぐる日本企業の取組状況及び国際的な動向を踏まえ、2020年に公表されたNAPを5年ぶりに見直したものである。

2011年、国連人権理事会で承認されたビジネスと人権に関する指導原則(以下「指導原則」という。)は、政府に対して人権を保護する義務を課すとともに、企業に対して人権を尊重する責任を求め、さらに政府及び企業に対し、実効的な救済へのアクセスを確保することを求めている。NAPは、こうした指導原則を、政府が関係府省庁間の政策の一貫性を確保しつつ実施していくための重要な政策文書である。日本政府がこの度、当連合会を含むステークホルダーの意見を聴取した上でNAPを改定し、「救済へのアクセス」を含む8つの優先分野を特定した上で、関連する取組の方向性や施策例を示したことについて、当連合会はこれを歓迎する。

もっとも、今回公表されたNAP改定版には、2020年に公表されたNAPと同様に様々な問題点が残されている。例えば、NAPを策定するに当たっては、その前提として、現行の法制度や政策において何が不足しているのかを分析することが求められるはずである。しかし、そのような分析が十分に行われた形跡は、今日に至るまで認められない。

加えて、当連合会は、「「ビジネスと人権」に関する行動計画改定に盛り込むべき「救済へのアクセス」実現のための具体的な事項・施策に関する意見書(2025年3月18日)」において、NAP改定に際し「救済へのアクセス」を実現するための具体的事項・施策として、司法的救済について、救済へのアクセスの拒否につながるような障壁を減少させるための方策の検討、政府から独立した人権機関(National Human Rights Institution。以下「NHRI」という。)の設置、個人通報制度の導入などを求めた。しかしながら、NAP改定版には、司法的救済、NHRI及び個人通報制度の施策についての言及がなく、具体的なロードマップの提示や、進捗状況に関する指標の設定・モニタリングも行われていない。人権侵害の被害者が実効的な救済を受けることができる社会を実現するためには、NHRIの設置を含め、政府が救済へのアクセスの向上に向けて率先して取組を進めることが不可欠である。

NAP改定版には、「関係府省庁とステークホルダーとの間における信頼関係に基づく対話の機会として、円卓会議・作業部会を継続する。」と記載されている。当連合会は、これらの仕組みへの参加を通じて、NAP改定版の課題に関するフォローアップ、情報提供及び推進状況の確認を、積極的かつ効果的に進めていく。一方、これまでに開催された円卓会議及び作業部会においては、ビジネスと人権に関する具体的テーマについて十分に実質的な議論が行われてきたとは言い難い。また、ステークホルダーから示された意見に対する関係府省庁側のフォローアップも必ずしも十分ではなく、結果として、継続的な対話が確保されてきたとも言い難い。したがって、今後は関係府省庁とステークホルダーとの間で、より実質的かつ継続的で意義ある対話を推進していくことが不可欠である。

当連合会は、引き続き人権が尊重される社会の実現に向けて、これらの課題に積極的に取り組んでいく所存である。」


谷直樹

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by medical-law | 2026-02-25 01:23 | 弁護士会