日弁連「憲法記念日を迎えるに当たっての会長談話」
読売新聞の調査では、高市首相の在任中に国会で憲法改正の議論が進むことを期待するが54%です
危機的な状況です
日弁連は、2026年5月3日、 「憲法記念日を迎えるに当たっての会長談話」を発表しました
「本日、日本国憲法が施行されて79年目の憲法記念日を迎えました。
日本国憲法は、戦争の惨禍に対する深い反省の上に、国民主権、基本的人権の尊重及び恒久平和主義を基本理念として定め、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにするとの国民の決意を明らかにしています。当連合会もまた、これまで一貫して、この憲法の基本理念を擁護し、その実現に努めてきました。
しかし今、世界では多くの武力紛争が続いています。ウクライナ、ガザ、イラン等各地における紛争で多くの市民の命と生活が奪われ、子ども、高齢者、障害のある人を含む数多くの市民が深刻な被害を受け続けています。紛争の拡大・長期化が憂慮される中、市民が犠牲となる痛ましい事態が後を絶たず、家族を失い、住み慣れた家を破壊され、日常を奪われ、避難を余儀なくされている人々の苦しみに、私たちは深く思いを寄せたいと思います。このように、戦争においては、常に市民に大きな被害が生じます。
当連合会が繰り返し指摘してきたとおり、平和は基本的人権の基礎であり、戦争は最大の人権侵害です。戦争は、人の生命を奪うだけではなく、平穏に暮らす権利、家族とともに生きる権利、学ぶ権利、働く権利、医療を受ける権利など、あらゆる人権を根底から破壊します。だからこそ、日本国憲法の恒久平和主義や国連憲章等の条約・国際法の遵守を定める規範は、単なる理想ではなく、人間の尊厳を守るための現実的な「法の支配」の規範として、今こそ重く受け止められなければなりません。
2015年の安全保障法制は、政府自身が従来許されないと解釈してきた集団的自衛権の行使を、閣議決定による憲法9条の解釈変更によって可能にしようとし、さらには、2022年12月に閣議決定された安保三文書に基づき、いわゆる敵基地攻撃能力ないし反撃能力の保有が進められ、防衛装備移転の拡大も図られています。
そして、現在、政府・与党においては、安全保障環境の変化を理由として安保三文書の見直しが検討され、与党は憲法改正の実現に向けた取組を進める方針も示しています。
このような国の安全保障政策や憲法秩序の在り方に関わる問題は、立憲主義の下、国会における十分な審議と国民的議論によって慎重に検討されるべきものであり、ましてや、時々の政治的要請に基づいて、閣議決定により決められるべきものではありません。
戦争による市民の苦しみを目の当たりにする今、私たちに必要なのは、戦争の被害を受ける人々の痛みに真に向き合うこと、武力によらない平和の構築に向けて、外交、対話、国際協調、人道支援及び国際法を尊重し、遵守することであり、日本国憲法が掲げる恒久平和主義は、まさにその方向を指し示すものです。
当連合会は、昨年12月の人権擁護大会で「戦争をしない、させない 長崎宣言」を採択しました。戦争の被害を受けている全ての市民に深い連帯と哀悼の意を表するとともに、法律家団体として、日本国憲法の恒久平和主義、基本的人権の尊重及び立憲主義の理念を堅持し、その実現のために今後も全力を尽くす決意です。」
谷直樹
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