前立腺がんを摘出手術後の出血を経過をみたために出血性ショックで死亡した例で和解(報道)
患者の遺族が同機構を被告として損害賠償を求める訴訟を札幌地裁に起こし、5月7日に和解が成立したとのことです
術後管理についての過失が明らかな事案のように思えますが、訴訟前に解決できず、解決まで4年かかったようです
なおこれは当職が担当したものではありません
読売新聞「ロボット使った手術で誤って血管損傷、男性患者死亡…北海道がんセンター」(2026年5月9日)ご参照
独立行政法人国立病院機構北海道がんセンターは、令和8年5月8日、サイトに「ロボット支援下術後の出血による死亡例について」を掲載しました
「【医療事故の概要】
患者様は2022年ロボット支援下腹腔鏡手術を施行された。手術中にロボットに取り付けた把持力の強い鉗子を静脈の把持に使用していたが、同鉗子の移動操作を行った際、鉗子の先が血管から離れる前に移動したために血管が強く牽引され、血管壁が割け出血した。割けた血管を連続縫合で修復し、止血を確認のうえペンローズドレーンを留置し、ドレーンからの出血量が計測できるよう手術を終了した。
術後、覚醒した状態でHCUへ搬送された。HCUに移動し2時間ほど経過したところで血圧が低下したが、腹部の張りも乏しく、脈拍数の著しい変動もなかったことから薬剤の影響による血圧低下であると判断し、経過を見ていた。その後も血圧は低めに推移し尿流出も乏しく、頻呼吸(呼吸数23回/分)も見られていたが、HCU入室から5時間ほど(血圧低下から3時間ほど経過)した頃に、術前指示に基づく点滴500mlを追加して状態を見ることとした。その後、創部ドレーンからの出血が確認されたものの、少量であったことを理由に経過をみていたところ、HCU入室から6時間ほど経過した頃にショック状態となり、その後心肺停止となった。蘇生処置により約1時間半後、心拍は再開したが、創部ドレーンからの出血及び貧血が確認され、術後出血によるショックと判断された。その後、インターベンショナルラジオロジーによる止血を試みたが十分な効果が得られず、ショック発生からおよそ7時間後に永眠された。
病理解剖の結果、静脈修復部裏面の血管壁に穿孔を認め、同部からの出血が死因と判断された。病理標本では穿孔を伴う静脈解離が認められた。」
谷直樹
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