日弁連「成年後見制度の報酬助成・申立費用助成制度の推進に関する意見書」
意見書の趣旨は次のとおりです
1 成年後見制度(法改正後の補助制度を含む。)の報酬助成制度について
(1)国は、低所得の高齢者、知的障害者及び精神障害者に対して行う、後見人、保佐人、補助人、特定補助人(以下「後見人等」という。)、後見監督人、保佐監督人、補助監督人(以下「法定後見監督人」という。)、任意後見監督人(以下、法定後見監督人、任意後見監督人を総称して「監督人等」という。)及び財産管理人の報酬(以下「報酬」という。)の助成制度(以下「報酬助成制度」という。)について、助成要件、助成対象及び助成基準を全国で統一すべきである。
併せて、その際には特に以下の点に留意すべきである。
① 助成要件及び助成対象について
ア 申立類型に関して、市町村長申立てに限定せず、本人申立て及び親族申立ても含めること。
イ 生活保護受給世帯及びそれに準じた世帯に限定しないこと。
ウ 本人の収入に関して、成年後見制度(法改正後の補助制度を含む。)(以下「成年後見制度」という。)の利用を抑制するような金額設定をしないこと。具体的には、収入の上限額に関して、原則として本人の収入の上限額を年220万円未満(手取り)に設定しないこと及び本人の世帯収入を考慮しないこと。なお、上限額の設定に関して、物価の地域差を加味することまで否定するものではない。
エ 本人の資産に関して、成年後見制度の利用がいたずらに制限されるような金額設定をしないこと。具体的には、資産の上限額に関して、本人の金融資産額の上限額を原則として100万円未満に設定しないこと、原則として本人の資産として居住用不動産を考慮しないこと及び本人の世帯資産を考慮しないこと。なお、上限額の設定に関して、物価の地域差を加味することまで否定するものではない。
オ 助成対象を後見人等の報酬に限定せず、監督人等、財産管理人の報酬も含めること。
カ 本人死亡後に生前の報酬審判がなされた場合も、報酬助成の対象とすること。
② 助成基準額について
報酬助成額を家庭裁判所の報酬審判額に合わせること。ただし、上限額を設定することもやむを得ないところ、上限額を年額40万円未満に設定しないこと、また、将来的な物価の上昇に合わせて適時の改定を行うこと。
③ その他
ア 報酬助成制度による助成金の振込先について、本人口座だけではなく、後見人等及び監督人等の口座も可能とすること。
イ 助成の申請期限について、報酬審判日から少なくとも半年以上の期間とすること。
(2)前項を達するため、国は、報酬助成について、義務的経費としてこれを負担する財政上の措置を講じるべきである。
(3)仮に前項の措置を直ちに講じることができない場合であっても、国は、高齢 者関係、障害者関係を問わず報酬助成事業を一律必須事業とした上で、市町村に対する補助を充実させるとともに、国が定める統一的条件と国による補助金交付とを紐付け、国が定める条件を充足した場合にのみ補助金を交付する仕組みに改め、市町村がその条件を遵守するよう促す制度設計とすべきである。その際、以下の点に留意すべきである。
① (1)①ないし③に同じ。
② 複数市町村が関与する場合に、いずれの市町村が成年後見制度利用支援事業を実施するかに関する考え方及び判断方法を明確化すべきであること。
2 成年後見制度の開始審判の申立費用助成制度について
(1)国は、低所得の高齢者、知的障害者及び精神障害者に対する後見等開始審判申立費用(法改正後の補助、特定補助開始審判申立費用を含む。)及び任意後見監督人選任申立費用(以下、総称して「申立費用」という。)の助成制度(以下「申立費用助成制度」という。)について、助成要件、助成対象及び助成基準を全国で統一すべきである。加えて、その助成要件は、報酬助成制度のそれよりも緩やかに設定すべきであり、また、助成対象も市町村長申立てに限定せず、本人申立てや親族申立ての場合も対象とすべきであるし、また、後見等の全ての類型の開始審判の申立て、任意後見監督人選任申立てを対象とすべきである。
(2)前項を達するため、国は、申立費用助成について、義務的経費としてこれを負担する財政上の措置を講じるべきである。
(3)仮に前項の措置を直ちに講じることができない場合であっても、国は、高 齢者関係、障害者関係を問わず申立費用助成事業を一律必須事業とした上で、市町村に対する補助を充実させるとともに、国が定める統一的条件と国による補助金の交付とを紐付け、国が定める条件を充足した場合にのみ補助金を交付する仕組みに改め、市町村がその条件を遵守するよう促す制度設計とすべきである。
3 報酬助成制度及び申立費用助成制度の周知方法
国は、報酬助成制度及び申立費用助成制度について、各市町村に対し、そのホームページ等に、利用者が検索しやすく、見やすい体裁で、申請・相談窓口、申請手続、申請書式、適用要件、適用対象及び助成基準額等の情報を掲載するよう促すべきである。
谷直樹
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