2011年 03月 26日 ( 2 )

◆ 横浜地裁平成23年3月23日判決(出産直後の産婦死亡)
2003年12月,横浜市瀬谷区の堀病院で長女を出産した女性(当時37歳)が死亡した事案です.
出血初期の段階で別患者を診療していた医師は,看護師から出血の連絡を受けて約15~25分後に治療を再開しています.
横浜地裁は,出血の報告は緊急性が高くなく,別の患者の診療をしたことは不適切とはいえないと過失を否定し,その後の止血も適切で.担当医の処置と死亡との因果関係は認められない,と判断し,医師の責任を否定しました.
「産婦死亡訴訟、「医師の過失認められない」とし遺族の賠償請求を棄却/横浜地裁」(神奈川新聞)ご参照
◆ 東京地裁平成23年3月23日判決(イレッサ薬害)
肺がん治療薬イレッサの副作用で間質性肺炎を発症するなどして死亡した3患者の遺族が,輸入を承認した国と輸入販売元のアストラゼネカ社に損害賠償を求めた事案です.
東京地裁は,2002年10月の文書改訂後に服用して死亡した2患者の遺族の請求を認め.国とアストラゼネカ社に計1760万円の賠償を命じました.
東京地裁は,「国は承認前の時点で副作用による間質性肺炎で死に至る可能性があると認識していた」と認定し,「安全性確保のための必要な記載がない場合,国は記載するよう行政指導する責務がある」とし,間質性肺炎の危険性を目立つように記載するよう指導しなかった国の対応を違法と判断しました.
アストラゼネカ社に対しては添付文書の記載不十分とし,製造物責任法上の欠陥があるとしました.
国の責任を認めた点で,大阪判決を一歩進めた判決です.
「イレッサ副作用死:投薬訴訟 国の賠償責任認める 東京地裁判決「行政指導怠る」」(毎日新聞)ご参照
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谷直樹

共同見解は,「乳児の水分摂取必要量は成人に比べて多いため、短期間であっても、水分摂取不足は重大な健康障害を起こします。」と指摘しています.
乳幼児は,体重あたり,成人のだいたい2,3倍は必要でしょう.
共同見解のまとめは以下のとおりです.
「1)母乳栄養の児では、母親は制限なく食事を摂取し、母乳栄養を続けてください。
2)人工栄養の児では、ミネラルウォータを使用してミルクを調整することは可能ですが、煮沸し適温にしてから使用します。一部の硬水では、粉乳が十分に溶解しないことがあります。また、硬水には多くのミネラルが含まれており、乳児に過剰な負担を与える可能性があります。この場合には、水道水を用いる方が安全です。
3)離乳食を摂取している乳児では、水分摂取は離乳食からも可能なので、人工乳の量を減らすことは問題ありません。
4)人工乳のみを摂取している児で、代用水が確保できない場合には、通常通り水道水を使用して下さい。」
つまり,最も良くないのは,水分摂取を控えること,です.
当然です.成人でも水分を控えるのは,血液が凝縮し血栓ができやすくなるなどの危険があります.
次に良くないのは,ミネラルの多い硬水で調乳すること,です.そのとおりと思います.
ミネラル分の少ないミネラルウォータでミルクを調整する場合,煮沸し適温にしてから使用することも書いています.
代用水が確保できない場合にはミネラル分の多い硬水で調乳するより汚染されていても水道水を使用する方がよい,ということです.
もちろん,そのとおりなのですが,水道水がでないときもあります.
共同見解は,水道水がでないときにどうするか,は書いていません.
計画停電の影響などで水道水がでなくなったり,濁ったりする場合もありますが,
八王子市水道局によりますと,
水道水をくみ置きする時は
・空ペットボトルなど、密閉できる容器を使う
・あらかじめ十分に洗浄しておく
・容器の口元いっぱいまで水道水を入れる
・きちんとフタを閉め、冷暗所に保存する
保存期間は3日間が目安
とのことです.

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