弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2011年 11月 10日 ( 3 )

済生会山口総合病院,機械弁に置換する際の出血事故で裁判上の和解成立

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毎日新聞「損賠訴訟:心臓手術で死亡 済生会と遺族、和解が成立 /山口」(平成23年11月19日)は,次のとおり報じています.

「山口市の済生会山口総合病院で05年、心臓の手術を受けて死亡した萩市の男性(当時62歳)の遺族が、「出血させず人工弁を置換する義務を怠った」などとして、社会福祉法人恩賜財団済生会(東京都)に約5570万円の損害賠償を求めた訴訟の和解協議が8日、山口地裁(山本善彦裁判長)であり、済生会側が遺族に解決金を支払うことで和解が成立した。解決金の額は明らかにされていない。

 訴状によると、男性は05年2月に入院。大動脈弁狭さく症、僧帽弁狭さく症と診断され、医師から「手術の危険性は3~5%。2週間もすれば退院できるようになる」と説明を受けた。3月1日に手術を受けたが、機械弁に置換する際に出血。2日に重症心不全で亡くなった。」


説明義務が争われ,最高裁平成20年4月24日判決で破棄差し戻しとなった事案が有名ですが,本件は,地裁で裁判上の和解ができてよかったと思います.

谷直樹
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by medical-law | 2011-11-10 17:57 | 医療事故・医療裁判

米国4議員,日本とのTPP交渉に慎重意見

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米下院歳入委員会と上院財政委員会の幹部を務める超党派議員4人は,2011年11月8日,日本が今週環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に参加する意向を表明した場合、議会との事前協議なく早急に決断することがないよう,米通商代表部のロン・カーク代表に宛てて要請書を送りました.

ロイター「「日本とのTPP交渉判断慎重に」、米超党派議員がオバマ政権に要請」(2011年 11月 9日)は,以下のとおり報じています.

議員らは「日本が交渉に参加すればTPP交渉に新たな次元と複雑性が加わることになる。このため(米政府に対し)いかなる決断も下す前に連邦議会その他の関係者に相談するよう強く求める」と要請した。

 その理由として、同書簡は「日本は長い間、国内市場を意味のある競争から保護してきた」と指摘し、米国は日本政府が本気で市場を開放し、米自由貿易協定(FTA)が求める高い水準を満たす用意があるのかを十分確認する必要があるとしている。」


日本では,民主党が,TPPのPTで,交渉参加への慎重意見が強かったことを明記し政府に対し慎重に判断するよう求めるだけで,政府が判断すること自体は認めることで決着がつきました.これで,まもなく,日本政府は,TPP参加を表明するでしょう.

日本がTPPに参加し,医療分野に自由競争が持ち込まれると,混合診療が解禁となり,保険制度が崩壊するでしょう.自由競争部分が大きくなると,保険部分が切り詰められるのは必然です.
医療分野に自由競争が持ち込まれることで利益を享受する企業があることは事実ですが,大半の国民にとっては不利益のほうが大きいでしょう.
TPP参加は,禍根を残すことになります.

谷直樹
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by medical-law | 2011-11-10 02:31 | 医療

ワシントン連邦高裁,医療保険改革法について合憲判断

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米国は基本的に自由競争の世界です.
ただ,貧富の差により受けられる医療が著しく異なり,無保険者が増えているのは,さすがに良くないとして,医療改革法が制定されたのですが(オバマ大統領の当初の主張より弱められた改革法なのですが),共和党が反対し違憲を主張し法廷闘争が行われています.

ワシントン連邦高等裁判所(コロンビア特別区控訴裁)は,2011年11月8日,医療保険改革法について合憲と判断しました.
連邦議会は州際間の商業行為を規制できる権限に基づいて行動しており,連邦議会には個人に医療保険の加入を義務づけ加入しない場合は罰金を課す権限がある,との理由です.なお,裁判官の判断は,2対1に分かれています.

これで,3つの連邦高裁が合憲判決を出し,アトランタ連邦高裁だけが違憲判断(ただし改革法全体が無効ではない)を示したことになります.
連邦最高裁が最終的に判断することになるでしょうが,南部のアトランタ連邦高裁の違憲判断を連邦最高裁が踏襲するとは考え難く,ワシントン連邦高裁の判断に近いものになると思います.

ウォール・ストリート・ジャーナル「米医療保険改革法裁判で合憲と違憲が3対1に」(2011年 11月 9日)ご参照

米国の医療は,自由競争を修正,補完する動きなのに,米国が日本に対し自由教則を求めるのは,皮肉な動きです.

谷直樹
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by medical-law | 2011-11-10 02:15 | 医療