弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2011年 11月 19日 ( 2 )

謎解きは法廷で

謎解きは法廷で_b0206085_855797.jpg

昨日は,久しぶりに尋問でした.

日本の医師は法廷で平然と嘘を言う,と,以前,米国の弁護士が驚いていました.宗教的な背景が異なるのでしょう.
裁判は,客観的な証拠を積み重ねて立証するのが王道で,人証(証人,本人)は客観的な証拠を分かりやすく説明したり,部分的に補強する程度のものと考えておいたほうがよいでしょう.客観的な証拠の作成収集にすべての力を惜しみなく注ぐべきなのです.

ただ,そうとは言っても,尋問も状況証拠の確認の積み重ねです.じわじわと状況証拠を確認し,追い詰めていくと,事実が明らかになることも多いのです.

どうしても解けない謎がある事件も,尋問してみて謎が解けることがあります.

谷直樹
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by medical-law | 2011-11-19 21:41 | 司法

大学病院,心臓手術で残したガーゼが腹部大動脈に移動し患者が死亡,調査により判明

大学病院,心臓手術で残したガーゼが腹部大動脈に移動し患者が死亡,調査により判明_b0206085_91874.jpg

◆ 事案

福岡大学病院で,2011年5月下旬,80代の女性患者が,大動脈弁を人工弁に交換する手術の際,心臓の出口に置いたガーゼ(横約30センチ、縦約15センチ)1枚が見つからず,レントゲン撮影などでも発見できず,そのまま胸を閉じました.

翌日,患者の両足が冷たくなったため検査したところ,血栓などを発見しました.再手術を行いましたが,その際にも,ガーゼは見つからず,患者は多臓器不全でその翌日死亡しました.

同病院は,当初,患者の死亡は合併症によるものとみていましたが,同病院の手術にかかわっていない別の医師が,8月末,再調査を提案し,調査委員会を設け検証しました.
遺体が既にないため,生前に撮影したコンピューター断層撮影(CT)の画像などを確認したところ,腹部大動脈にガーゼが残っていた可能性が高いことが分かりました
患者死亡の原因は,ガーゼが腹部の大動脈に移動し,血流を妨げた可能性が大きいとのことです.

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◆ 感想

従前,合併症による死亡,術後の血栓塞栓症による死亡と扱われていた症例の中にも,本件のようなケースが含まれていたのかもしれません.

ガーゼの遺残事故は少なくありません.しかし,心臓手術のガーゼが腹部大動脈に移動した例は,いままで報告されていないと思います.その意味で,本件の検証は大きな意義があります.
ガーゼを残して死亡事故につながる可能性があるとわかった以上,今後いっそうガーゼを残すことがないよう,注意をはらう必要があるでしょう.

朝日新聞「体内にガーゼか、患者死亡 心臓手術で置き忘れ―福岡大病院」(2011年11月19日)ご参照

西日本新聞「福大病院で医療ミス 福岡大病院ガーゼ残す 患者死亡」(2011年11月18日)ご参照

MSN産経「心臓手術で体内にガーゼ、患者死亡 福岡大病院」(2011年11月18日)ご参照

NHK「手術で体内にガーゼ残し女性死亡」(2011年11月18日)ご参照

谷直樹
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by medical-law | 2011-11-19 04:04 | 医療事故・医療裁判