弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2012年 02月 03日 ( 3 )

日本禁煙学会,平成24年度診療報酬改定について中央社会保険医療協議会への意見~

日本禁煙学会,平成24年度診療報酬改定について中央社会保険医療協議会への意見~_b0206085_9173768.jpg日本禁煙学会は,2012年1月31日,「タバコ対策につきましては、医療機関は例外なく敷地内禁煙とすべきです。」という意見書を発表しました.
理由は,以下のとおりです.

「今回のタバコ対策(受動喫煙による健康への悪影響は明確であり、公共の場においては原則として全面禁煙を目指しているが、屋内全面禁煙を実施していない病院がみられることを勘案し、生活習慣病患者、小児、呼吸器疾患患者等に対する指導管理にあたっては、 屋内全面禁煙を原則とするよう要件の見直しを行う。)は、基本的に肯定できるところで、医療機関における例外なき「全面禁煙」の徹底が進み、患者・外来者・職員が受動喫煙の危害から守られることを期待しております。

 しかしながら、その要件としている(生活習慣病、小児、呼吸器疾患患者等に対する入院基本料等加算及び 医学管理等を算定する場合には、原則屋内全面禁煙を行うよう要件を見直す。)では、結果的に眼科、耳鼻科、皮膚科、歯科などの患者ならびに職員が除外されてしまいます。また、緩和ケア病棟や精神病棟などでは「分煙」も可、となっていますが、「分煙」では受動喫煙の危害防止とはならないことは、既に明らかとされている事実ですので(FCTC-COP2(第二回締約国会議)第8条(受動喫煙防止)のガイドライン等)、医療機関は例外なく「全面禁煙」とすべきです。
 従って診療報酬の点数を請求するためには必要と改めるべきであり、さらに患者ならびに職員の受動喫煙を防止するためには、敷地内禁煙を要件とするべきであります。
 また、医学部・歯学部と病院が隣接しているような大学病院に於いては、医学部・歯学部の敷地を含めて敷地内禁煙とするべきであります。」


谷直樹
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by medical-law | 2012-02-03 06:54 | タバコ

製薬企業による資金援助が患者団体の独立性に及ぼす影響

製薬企業による資金援助が患者団体の独立性に及ぼす影響_b0206085_62872.jpgHAI(ヘルスアクション・インターナショナル)欧州の調査によれば,患者・消費者団体によって表明された意見と,それらの団体が製薬企業から受けている資金援助との間に相関関係がみられた,とのことです.

これは,「プレスクリル・インターナショナル2011年12月号」の「製薬企業と患者団体: 資金援助の影響」の記事です.
薬害オンブズパースン会議「注目情報 製薬企業による資金援助が患者団体の独立性に及ぼす影響」が,その記事を要約紹介しています.

同会議は,
日本においても、患者団体の関係者が医薬品政策の審議・決定に参加する機会が増えている。審議会等に参加する委員個人については、審議会等の定める利益相反等の規定による規制を受けるが、患者団体自体は、そのような規制を受けていないのが現状である。が、これら患者団体の製薬企業との利益相反が明確に公表されるとともに、規制されるべきである。
と結んでいます.

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by medical-law | 2012-02-03 04:45

鳥取県立厚生病院,直腸がんの手術後,腹膜炎から敗血症を起こして死亡した事案で遺族と和解

鳥取県立厚生病院,直腸がんの手術後,腹膜炎から敗血症を起こして死亡した事案で遺族と和解_b0206085_633221.jpg

◆ 事案

鳥取県立厚生病院で,2011年4月1日大腸がんの手術をうけた患者(72歳,男性)の容態が,同月6日に悪化しました.
医師は,感染性腸炎と誤診したことから,適切な治療が遅れ,腹膜炎から敗血症を起こして死亡しました。

◆ 対応

患者の遺族は,2011年9月,同病院に対し2600万円の賠償金を請求しました.
鳥取県は,2012年2月1日,医療過誤があったことを認め,1800万円の損害賠償を支払うことで遺族と和解すると発表した。

msn産経「鳥取県、遺族と和解 厚生病院の男性死亡 医療過誤認め賠償へ」(2012年2月3日)ご参照

◆ 感想

医療過誤を疑って弁護士に相談される類型の一つが,このように手術後,腹膜炎から敗血症を起こして死亡した事案です.
手術時の縫合不全,術後の症状と診断の可能性等が問題になります.
本件は,有責例として比較的早期に解決でき良かったと思います.

【追記】

朝日新聞「厚生病院で誤診」(2012年2月3日)は次のとおり報じています.

「県立厚生病院(倉吉市)は2日、昨年4月に大腸の摘出手術を受けた琴浦町の男性(当時72)に対し医療過誤があり、男性が手術の8日後に死亡した、と発表した。男性は手術での腸の縫合不全による腹膜炎を腸炎と診断ミスされていた。病院側は医療過誤を認め、男性の遺族に損害賠償1800万円を支払うことで和解するという。20日からの2月定例県議会に議案が提出される。

 前田迪郎(みち・お)院長が記者会見して明らかにした。病院側の説明によると、男性は昨年4月1日、直腸がんのため厚生病院で大腸の摘出手術を受けたが、6日未明に下痢や嘔吐(おう・と)を催すなど容体が急変。消化器外科の主治医(昨年6月末に退職)は症状から感染症腸炎と診断し、抗生剤を投与する治療を行った。

 しかし、男性は7日朝に心肺停止状態に陥り、開腹手術を行ったところ、腹膜炎を患っていたことが分かったという。男性は9日、腹膜炎によって細菌感染が全身に広がる敗血症で死亡した。

 病院側は当初、遺族に対して合併症による医療事故と説明。その後、遺族側が病院側の注意義務違反を申し立て、9月に2600万円の損害賠償を請求したことから、再度検討した結果、医療ミスだったことを認めた。

 前田院長は会見で「腹腔(ふく・くう)内にガスがたまるなど腹膜炎の兆候もあったが、それよりも腸炎を示す症状を重視してしまった。腹膜炎として最初から処置していれば、助かった可能性はあった」と謝罪した。(宋潤敏)」


毎日新聞「医療過誤:厚生病院で大腸手術の男性死亡 1800万円で遺族と和解--県 /鳥取」(2912年2月3日)は次のとおり報じています.
 
「県は2日、県立厚生病院(倉吉市東昭和町)で昨年4月に琴浦町の男性(当時72歳)が直腸がんのため大腸の切除手術を受けた際、CT(コンピューター断層撮影)検査の結果を主治医が過小評価し腹膜炎で死亡させる医療過誤があったと発表した。当初は過失がない医療事故としていたが、遺族側から「注意義務違反があったのではないか」などと損害賠償を請求されたため、病院側が詳しく調査。11月に過失を認め、和解に向けて協議していた。慰謝料などとして県が約1800万円を支払うことでこのほど合意したという。

 男性は直腸がんのため昨年3月30日に入院し、4月1日に大腸の切除手術を行った。入院中の6日午前2時ごろに容体が急変。同日にCT検査を行ったところ、担当の放射線科医が腹膜炎の疑いを指摘した。だが、主治医(消化器外科)は下痢が続いていることや所見により感染性腸炎の可能性が高いと判断。薬の投与などの治療を行ったが、症状は改善しなかった。7日の朝に心肺停止となり、緊急手術を行ったところ、縫合不全による汎発性腹膜炎だったと判明。治療を試みたが、9日に死亡したという。

 前田迪郎院長は「(主治医は)他の医師のアドバイスを素直に聞くべきだった。診断と治療が遅れた点について、おわび申し上げる」と謝罪。「今後はこのようなことがないように、対応策などを病院内に配布して再発防止に努める」としている。【田中将隆】」


CT検査で腹腔内にガスがたまるなど腹膜炎の兆候があり,それを見た放射線科医が腹膜炎の疑いを指摘していたのですから,主治医の判断に過失があったことは,はっきりしています.

谷直樹
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by medical-law | 2012-02-03 04:01 | 医療事故・医療裁判