弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2012年 02月 18日 ( 3 )

日弁連,「福島の復興再生と福島原発事故被害者の援護のための特別立法制定に関する意見書」

日弁連,「福島の復興再生と福島原発事故被害者の援護のための特別立法制定に関する意見書」_b0206085_13221545.jpg日本弁護士連合会(日弁連)は,2012年2月16日,「福島の復興再生と福島原発事故被害者の援護のための特別立法制定に関する意見書」を内閣総理大臣等に提出しました.

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意見書の趣旨は,以下のとおりです.

「政府は、今国会に提案された「福島復興再生特別措置法案」又は今国会に提出を目指すと報道されている「被災者保護法案(仮称)」に下記の施策を盛り込むなど、早急に被害者の生活再建支援、健康確保及び人権擁護のための施策を行うべきである。

1 被害者に対する生活給付金又は一時金等の生活再建支援制度を創設すること。

2 警戒区域設定された地域に住居を有する被害者に対する損失補償制度を創設すること。

3 国による被害者の健康管理調査と無償医療を実施すること。また、これらの施策の目的は「健康上の不安の解消」ではなく、「健康被害の未然防止、早期発見、治療」にあることを明記すること。

4 国は、被害者自らがどの程度被ばくしているかを知る権利があることを認め、被害者が希望する場合は、ホールボディカウンター等により内部被ばくの有無を測定し、そのデータから現在までの被ばく量を推計の上、当該被害者に開示することとし、また、その費用は国が負担すること。

5 居住地から避難するか、残留するかなどの意思決定に当たっては、被害者に対し、放射性物質による現在の汚染状況と今後の除染計画や風雨などに伴う放射性物質の移動などを予測した上で、中長期的な汚染状況の変化を適切に予測し、その正確な情報の提供をするとともに、被害者の自己決定権を尊重し、どのような決定を下した者に対しても、その状況に応じて十分な支援を行うこと。

6 福島県民に対するいわれなき差別を防止するとともに、とりわけ、子ども、妊婦、乳幼児を持つ母親、障がい者及び高齢者等の災害時要援護者に対して特別な保護を与えることを内容とする施策を行うこと。

7 警戒区域設定解除に当たっては、公正な判断がなされるよう専門家と市民の代表から構成される第三者機関を設置すること。一方で、警戒区域設定解除を機械的に適用して援助を打ち切るような扱いはしないこと。

8 上記の各施策に伴って支出された国費について、国から東京電力に対する求償等の措置を検討すること。

9 遠隔地避難者に対する支援に万全を期するため、被災者台帳を全国の自治体で整備し、正確な所在を把握するため積極的に情報共有すること。また、避難場所について公益活動を行う団体に開示すること。

10 国は避難によって別々に生活せざるを得ない家族に対し、家庭の維持のための支援を行い、避難者の受入れ自治体は住居の提供や雇用の創出・斡旋に努めること」


谷直樹
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by medical-law | 2012-02-18 08:46 | 弁護士会

日弁連会長談話,東京電力は原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介案の尊重義務を果たせ

日弁連会長談話,東京電力は原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介案の尊重義務を果たせ_b0206085_13364317.jpg

日本弁護士連合会(日弁連)は,2012年2月15日,「東京電力に対し原子力損害賠償紛争解決センターによる和解仲介案の尊重義務を果たすことを求める会長談話」を発表しました.

国から,総額約1兆6000億円が損害賠償資金として東京電力に交付されます.
東京電力は,その見返りとして,原子力損害賠償紛争解決センターの和解仲介案を尊重することを約束しています.
ところが,実際には,東京電力は和解仲介案を全く尊重していません.
東京電力の,賠償資金をもらいながら賠償金を出し渋る,という対応により,原子力損害賠償紛争解決センターは,その役割を果たせない状態になっています.

上記会長談話は,次のとおり指摘しています.

「福島県大熊町から東京都内に避難している男性が原子力損害賠償紛争解決センター(以下「センター」という。)に昨年9月1日に申立てを行った第1号事件について、昨年12月27日にセンターの仲介委員が示していた和解仲介案に対して、東京電力は様々な条件を付けるなどして、今日に至るまでなお和解仲介案を受諾せず、仲介委員が和解仲介案を提示してから実に50日以上もの期間が徒過し、この間申立人である被害者は全く救済されていない。他の事案においても、東京電力は、財物価値喪失等や中間指針に具体的記載のない損害の賠償請求について和解協議に消極的、かつ、事件全般につき認否留保が多く、そのために和解解決が進んでいないと指摘されている。

特別事業計画は、政府及び国民との約束であり、この度の変更により更に多額の国費が東京電力に対し投入される以上、東京電力には、「和解仲介案の尊重」を始めとした「5つのお約束」を誠実に遵守する義務がある。

当連合会は、改めて、東京電力に対して、積極的に和解協議に応じるとともに、センターの仲介委員が和解仲介案を示した場合には、原則としてこれを尊重し、迅速かつ誠実に和解仲介案を履行するなど、特別事業計画に記載された事項を確実に遵守し、一刻も早い被害者の救済を図るために、最善の努力を行うことを強く求める。」


谷直樹
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by medical-law | 2012-02-18 08:34 | 弁護士会

名古屋地裁平成24年2月17日判決,藤田保健衛生大病院医師のコイル塞栓術のワイヤ操作の過失を認める

名古屋地裁平成24年2月17日判決,藤田保健衛生大病院医師のコイル塞栓術のワイヤ操作の過失を認める_b0206085_13111720.jpg

名古屋地裁(第4部)平成24年2月17日判決は,ワイヤが脳動脈瘤に穴を開けた事案で原告の請求を認容し,藤田保健衛生大病院を開設する学校法人藤田学園に,約1億7015万円の支払いを命じました.

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◆ 事案

女性(57歳)は,2006年4月に受診し,脳の血管に動脈瘤が見つかました.
女性は,2006年8月,藤田保健衛生大病院で脳動脈瘤の予防治療として,カテーテルを通して動脈瘤内にコイルを詰め,破裂を予防する血管内手術を受けました.
その際,動脈瘤に穴が開き,それが原因でくも膜下出血になり,出血性脳梗塞を発症して、左半身麻痺などの後遺障害を負いました.
ワイヤの先端部が動脈瘤の壁に穴を開けた可能性が極めて高い,と名古屋地裁判決は指摘しました.

◆ 過失

名古屋地裁判決は,「カテーテルを通るワイヤが進みすぎないようにするための措置が不正確だった」として,執刀医の過失を認めました.

◆ 説明義務違反

名古屋地裁判決は,執刀医が手術前の説明で,別の治療法である開頭手術について,技術的に比較的容易であり,選択する患者が多いという利点を十分に説明しなかった点も認めました.
女性のような動脈瘤であれば「カテーテルを使った手術より,頭蓋骨を開け,クリップで血管の膨らみを止める手術の方が,リスクは高くなかった」とし,女性が手術を選択するために必要な情報提供を怠った,とも指摘しました.
「担当医師は,危険性は同じ程度との説明しかしなかった」と説明義務違反を認定し,さらに「説明を尽くせば原告は開頭式を選び,障害を負わなかった可能性が高い」と相当因果関係を肯定する判断を示しました.

毎日新聞「医療過誤:藤田保健衛生大学に1億7015万円支払い命令」(2012年2月18日)ご参照
日刊スポーツ「脳手術失敗…病院に1・7億円の賠償命令」(2012年2月17日)ご参照
中日新聞「手術ミス認め1億7千万円賠償命令」(2012年2月17日)ご参照

◆ 感想

脳動脈瘤の予防治療としてコイル塞栓術が行われ,出血を起こし,死亡したり重度の障害を残すケースがあります.本判決は,そのようなケースの解決の上で参考となるものです.

谷直樹
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by medical-law | 2012-02-18 02:12 | 医療事故・医療裁判