弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2012年 03月 01日 ( 3 )

FDA,高コレステロール治療薬スタチン剤の高血糖・糖尿病リスクを警告,認知障害も添付文書に記載

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米食品安全局(FDA)は,2012年2月28日,高コレステロール治療薬スタチン剤の服用が高血糖や糖尿病にかかるリスクを少ないながら上げる,と警告しました.
また,記憶の一部喪失や混乱を起こしたケース(認知障害)があったことも添付文書に記載するとのことです.
他方,肝酵素の日常的モニタリングについては添付文書から除きました.

Statin Drugs - Drug Safety Communication: Class Labeling Changeご参照

FDA Drug Safety Communication: Important safety label changes to cholesterol-lowering statin drugsご参照

FDA Expands Advice on Statin Risksご参照

なお,平成20年5月22日東京地裁判決は,スタチン剤と神経障害との因果関係を認めています.

谷直樹
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by medical-law | 2012-03-01 03:08 | 医療

岡山大学病院でも,患者情報が入ったUSBメモリー紛失

b0206085_8565096.jpg◆ 岡山大学病院のUSBメモリー紛失事故

岡山大学病院の医師は,2012年2月18日,学会の発表資料の作成のため,患者278人分の個人情報をデータをUSBメモリーに記録し,ズボンのポケットに入れて自宅に持ち帰りました.
翌日出勤した際,紛失に気付き,コンビニなど立ち寄り先も探しましたが見つからず,2月21日に岡山西署に遺失届を出しました.
USBメモリーには,医師が勤める内科系診療科を受診した患者の氏名,年齢,疾患名,服用薬,CT検査のデータなど,1人につき最大90項目の情報が記録されていました.

山陽新聞「入通院患者278人分の情報紛失 岡山大病院、男性医師持ち出す」(2012年2月29日)ご参照

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◆ 感想

相変わらず,全国の病院で,同様の個人情報紛失事故が続いています.
岡山大学病院では,患者のデータを院外に持ち出すためには氏名や生年月日を削除しなくてはいけないという規定がありましたが,守られていませんでした.
このようなことが続いているのは,日本の病院の個人情報管理に問題があることを示唆していると思います.

米国では,Health Insurance Portability and Accountability Actがあり,最高150万ドルの民事制裁金が課せられます.
個人情報の紛失による実害発生が確認されたか否かを問わず,制裁金や補償金を負担するシステムのほうが,緊張感をもって個人情報を取り扱っていただけるように思います.

また,暗号化した状態でなければコピーできないようにするなど,根本的な再発防止策が必要と思います.

ちなみに,報道によると,昨年6月以降,USBメモリーや外付けハードディスクの紛失事故は,以下の施設で起きています.

2011年 6月
慶應義塾大学病院スポーツ医学総合センター
北海道大学病院

7月
医療法人 柏堤会(財団) 戸塚共立第1病院
藤田保健衛生大学病院
昭和大学歯科病院

8月
筑波メディカルセンター病院

9月
千葉県精神科医療センター
鹿児島大学病院

10月
JA茨城県厚生連茨城西南医療センター病院
独立行政法人国立病院機構三重中央医療センター
独立行政法人労働者健康福祉機構関東労災病院

11月
独立行政法人国立病院機構金沢医療センター

2012年1月
医療法人聖愛会
独立行政法人国立病院機構千葉医療センター
独立行政法人国立病院機構宇多野病院

2012年2月
京都府立洛南病院(ただし一時紛失)
岡山大学病院

谷直樹
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by medical-law | 2012-03-01 02:28 | 医療

西日本新聞社説,「医療版事故調 命守る体制確立するには」

西日本新聞社説,「医療版事故調 命守る体制確立するには医療版事故調については,政権交代で頓挫しまb0206085_8445117.jpgしたが,仕切り直しの上,論議が再開し行われ,実現の機運が高まっています.

西日本新聞社説,「医療版事故調 命守る体制確立するには」(2012年2月29日)は,次のとおり述べています.

「医療版事故調をめぐっては、自公政権下の2008年6月、厚労省が第三者機関を設置する法律の大綱案をまとめたが、医療界の反発や政権交代の影響を受け棚上げ状態になっていた。国民の命に関わる課題が3年間も宙に浮いたままになっていたことは、残念でならない。今度こそ話を前に進めてもらいたい。

 08年の厚労省法律大綱案とは、どのような内容だったのか。国に第三者による中立的な事故調査委員会を創設する▽医師法21条で義務付けた警察への「異状死」届け出は原則、免除する▽標準的な医療行為から著しく逸脱している場合は警察に通知する-が大きな柱だった。

 これに対し、当時野党だった民主党は医療機関自身による院内調査を原則とする対案を公表した。そのうえで、医師法21条を削除する一方、結果に不満がある被害者側は都道府県に設ける第三者機関に調査を依頼できるとした。

 ここで議論が足踏みした背景には、帝王切開の妊婦が死亡して医師の刑事責任が問われた福島県立大野病院事件の無罪判決(福島地裁、08年)もある。執刀医が無罪になったからといって何も問題がなかったわけではないはずなのに、当時の厚労省担当者は「正面から取り組む機運がうせてしまった」と振り返る。

 厚労省は今回の検討部会で大綱案と民主党案を土台に協議を進める方針だが、省内からは「振り出しに戻ったも同然で、方向性は全く見えない」(幹部)との声も漏れてくる。与野党対立が続く国会を考えても、先行きは不透明だ。

 日本医師会は昨年6月、院内調査の原則を柱とする提言をまとめた。事故被害者の遺族などは、第三者による医療版事故調の必要性を強く訴えている。

 いずれにせよ、事故の背後にある構造的な問題点に迫り、それを組織や社会が共有しなければ、事故の教訓は生かされない。それはJR西日本の尼崎脱線事故を引き合いに出すまでもなかろう。

 そのためには、個人の刑事責任を問うこととは別に、客観的に医療事故の原因を究明する体制を整備することが不可欠だ。国民の命を守るという視点を基本に据え、建設的な論議を期待したい。」


医療版事故調は,刑事責任と絡めることなく,本来の事故原因の解明と再発防止の目的から検討していただきたいと思います.

谷直樹
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by medical-law | 2012-03-01 00:50 | 医療事故・医療裁判