弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2012年 03月 22日 ( 3 )

医療版事故調 党派超え議論前向きに議論を進める必要がある

b0206085_18392359.jpgしんぶん赤旗「医療事故の第三者機関設置「党派超え議論前向きに」小池氏が討論会で発言 」(2012年3月21日)は,つぎのとおり報じています.

「日本共産党の小池晃政策委員長は19日、都内で開かれた国の医療事故調査委員会設置をめぐる討論会に出席し、「党派を超えて前向きに議論を進める必要がある」とのべました。日本テレビ解説委員の高田和男氏が中心となり、医療問題を議論する高田塾が主催しました。

 小池氏は、今の仕組みで医療事故が起こると、警察による「犯人探し」と司法による処罰のみが追及され、原因の究明・再発防止が二の次になっているとし、この事態を解決するために「公正で中立な第三者機関が不可欠だ」と主張しました。

 2008年に政府が発表した「医療安全調査委員会設置法案の大綱案」を土台に、「問題点を解決しながら合意をつくる必要がある」としました。

 そのうえで、小池氏は大綱案の問題点を指摘。▽警察への通知については、故意による死亡やカルテの改ざんなどに限定すべき▽「死体に異状があると認めたとき、警察に届けなければならない」という医師法21条が拡大解釈されて事態が複雑化してきた経過から、「診療行為に起因した死亡はのぞく」というただし書きが必要―などと指摘しました。

 あわせて、「医療事故が続く背景には、日本の低医療費政策がある」として、日本は世界に比べて医師・看護師数や医療費の水準が圧倒的に少ないと指摘。「診療報酬を含めた医療の環境整備が医療事故を本当になくしていく上でも大きな役割を果たす」と強調しました。

 医療、マスコミ関係者、国会議員ら他の出席者からも、「早急に事故調査委員会を設置すべきだ」「医療機関の不信や裁判の限界から、第三者委員会の設立が遺族の希望になっている」などの発言がありました。

 「民主党も第三者機関設置に前向きにのぞむべきだ」という小池氏の指摘に対して、同党の足立信也参院議員は「公的機関にした場合、山のような訴訟が起きる」と設置に反対を表明。発言者から「公の立場で原因究明していくことがあるべき姿だ」「何のために第三者機関をつくるのか」と批判が相次ぎました。」


「訴訟=悪」という見方には賛同できません.
臭いものにはふた,では,いつまでたっても医療は良くなりません.
また,そもそも,「公的機関にした場合、山のような訴訟が起きる」という推測にどのような根拠があるのでしょうか.
医療版事故調は,事故の原因を解明し,再発を防止するためには不可欠です.

谷直樹
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by medical-law | 2012-03-22 23:29 | 医療事故・医療裁判

むつ総合病院,内視鏡手術でぼうこうに穿孔,和解

b0206085_18555085.jpg読売新聞「汚染水、医療事故公表遅れ 下北の2事務組合議員から疑問の声」(2012年3月22日)は,次のとおり報じています.

「むつと大間、東通、佐井、風間浦の5市町村で構成する下北医療センターが運営するむつ総合病院(むつ市小川町)は21日、昨年4月、むつ市在住の80歳代の男性患者がぼうこう腫瘍切除手術を受けた際にぼうこうに穴が空き、翌日死亡する医療事故が発生したと、下北医療センター議会で報告した。

 同病院の説明によると、昨年4月21日、40歳代の泌尿器科の男性医師が、男性患者のぼうこうにできた腫瘍を尿道から管を通して行う内視鏡手術で削り取っていた時、ぼうこうに穴が空いた。

 男性患者は、翌日、合併症による肺水腫で死亡した。医師は手術ミスを認めている。遺族には昨年9月に手術ミスを認めて賠償交渉を始め、2月に和解が成立し、専決処分で損害賠償金1600万円が支払われた。

 1年近く事実を公表しなかったことについて、下北医療センター議会の議員の1人は「良くない。ミスを認めているなら早く公表して襟を正すべきだ。隠蔽体質を感じる」と指摘。同病院は「遺族から公表してほしくないと言われ、発表しなかった」と説明している。」


やはり,すみやかに公表すべきでしょう.

ちなみに,日本医療機能評価機構は,3月22日,2011年の医療事故報告崇が前年より96件増えて2799件だったと発表しましたが,「ミスを共有し再発を防ぐため,積極的に報告する医療機関が増えたためではないか」という見方をしています.

ミスを共有し再発を防ぐためには,医療事故のすみやかな公表が望ましいと思います.

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by medical-law | 2012-03-22 21:38 | 医療事故・医療裁判

1千万人分ちかくのタミフル,リレンザの有効期限が切れるため,今年も,廃棄し,新規購入することに

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◆ 抗インフルエンザ薬の大量備蓄

国と都道府県は,新型インフルエンザ対策行動計画に基づき,6277万人分の抗インフルエンザ薬(タミフルとリレンザ)を備蓄しています.
毎年約1000万人分ちかくの抗インフルエンザ薬が,毎年有効期限切れのために廃棄され,代わりに毎年約1000万人分ちかくの抗インフルエンザ薬が購入されます.

 押谷仁・東北大大学院教授(ウイルス学)は,「日本には医療機関などに相当量の抗インフルエンザ薬が出回っており、これだけの備蓄が必要かという問題がある。2009年の新型インフルエンザパンデミックの際は、ワクチンは不足したものの、抗インフルエンザ薬が不足することはほとんどなかった。パンデミックが起きても発症者は人口の25%とみられ、国が言う人口の半数程度の備蓄が必要なのか、議論をしていくべきだ。」と述べています.

中日新聞「インフル薬迫る期限 63万人分、費用14億円 廃棄も」(2012年3月21日)ご参照
※ 63万人分14億円というのは,中部6県だけの数字です.

◆ タミフルの有効性の問題

ちなみに,国際的なコクラン共同計画によれば,タミフルの使用で,インフルエンザの症状が21時間ほど早く収まる効果は確認されたものの,合併症や入院を防ぐというデータは見つからなかった,とのことです.

コクラン共同計画,タミフルについて治療効果疑問,副作用は過小評価されていると報告」ご参照

◆ タミフルの危険性の問題

他方,「オセルタミビルと突然型死亡:2009A/H1N1インフルエンザの相対死亡率研究」によると,タミフル使用が,特に使用12時間以内の突然型死亡を誘発しうる,とのことです.突然型死亡の危険度(オッズ比)は5.9です.

オセルタミビル(タミフル)の害に関する新知見」ご参照

◆ 感想

要するに,合併症や入院を防ぐほどのエビデンスがなく,疫学研究の結果,特に使用12時間以内の突然型死亡を誘発しうることが報告されている薬を,毎年多量に購入し備蓄しているのです.
本当に備蓄が必要なのでしょうか.はなはだ疑問です.

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by medical-law | 2012-03-22 21:19 | 医療