弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2012年 10月 10日 ( 3 )

公立八女総合病院,未破裂の脳動脈瘤の説明不十分で和解(報道)

読売新聞「脳手術で半身まひ、69歳女性が八女市と和解」(2012年10月10日)は,次のとおり報じています.
 
「福岡県八女市が運営する公立八女総合病院で脳動脈瘤(りゅう)の手術を受けた後、左半身がまひして寝たきりとなった八女市の女性(69)とその夫が、慰謝料など計約3550万円の損害賠償を市側に求めた訴訟は9日、福岡地裁(平田豊裁判長)で和解が成立した。市側は、手術前の説明が不十分だったことを認めて謝罪し、和解金800万円を支払う。

 訴状によると、女性は2006年10月、頭痛を訴え、同病院に搬送され、脳動脈瘤の手術を受けて成功した。その後、別の未破裂の脳動脈瘤が見つかり、同12月に手術を受けた。その後、左半身がまひしたという。

 原告側は、医師から「失敗確率はほとんどない」「手術以外に治療法はない」と説明されたと主張。「別の未破裂の動脈瘤は2~3ミリ程度で、脳外科学会のガイドラインでは、手術を回避して経過観察すべきだとされている」などと訴えていた。」


未破裂の動脈瘤は,手術を実施したほうがよいのか,実施しないほうがよいのか,人により判断が分かれ,手術を希望しない人も少なくありません.未破裂の動脈瘤の手術についての説明義務違反事案は,「説明義務違反と結果との因果関係」が認められやすい類型です.
裁判例も多く,とくに最高裁平成18年10月27日判決(判例時報1951号59頁)がよく知られています.

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-10 23:38 | 医療事故・医療裁判

検察審議会,名南病院事件で院長不起訴不当(報道)

中日新聞「名南病院患者死亡 「院長不起訴は不当」 検察審議決」(2012年10月10日)は,次のとおり報じています.

「入院患者が事故で死亡した可能性があるのに警察に報告しなかったとして、医師法(届け出義務)違反容疑で書類送検され、不起訴となった名古屋市南区の名南病院院長(54)について、名古屋第一検察審査会は4日付で「不起訴は不当」と議決した。

 議決書などによると、大腿(だいたい)骨を骨折し2009年9月に名南病院に入院した女性=当時(81)=は、入院の翌日から人工呼吸器をつけていたが、10月6日に呼吸器の接続部が外れて低酸素脳症になり、8日後に死亡した。

 担当医だった院長は、遺体に異常があると認めたにもかかわらず、24時間以内に警察に届けなかったとして、名古屋・南署が昨年11月に書類送検した。名古屋地検は今年8月14日に不起訴としたため、遺族が検察審査会に不服を申し立てていた。

 議決書は「小康状態を保っていたのに人工呼吸器が外れたことで、10分以上、心肺停止となり、そのまま回復せず死亡した」と指摘。事故による低酸素脳症の影響と考えるのが自然として、「警察への届け出が必要だとまでは考えなかった」という院長の主張は「客観的なデータの裏付けがなく、不合理」と指摘した。

 院長は本紙に「女性が亡くなった原因は医療事故でなく、病状の悪化。不起訴不当の決定は残念で、今後も捜査に協力し、不起訴となることを信じている」とコメントした。」


検察審査会法の不起訴相当の議決は過半数(6人以上)で足りますが,起訴相当の議決には3分の2以上(8人以上)が必要です.不起訴相当にも足りず,起訴相当にも足りないときが,不起訴不当です.
本件も意見が分かれる事案だったわけです.
なお,不起訴不当の場合は,検察が再度不起訴とすることも少なくありません.

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-10 23:07 | 医療事故・医療裁判

東京地裁10月23日(火)11:30 薬害イレッサ「下書き」問題情報公開請求訴訟

薬害イレッサ「下書き」問題情報公開請求訴訟第5回期日

日時:東京地裁10月23日(火)11:30
場所:東京地方裁判所 7階705号法廷


厚労省職員が学会関係者に文案(下書き)を提供するなどして,和解勧告を批判する内容の学会見解を出すよう働きかけた,薬害イレッサ訴訟『下書き』提供問題の裁判です.
詳細は,薬害オンブズパースン会議のサイト

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-10 00:37 | 医療事故・医療裁判