弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2012年 10月 24日 ( 5 )

入所者の高齢化が進むにも拘わらず,職員数は年々減少の国立ハンセン病療養所(報道)

熊本日々新聞「人手不足…生活に不安 職員削減進む菊池恵楓園」(2012年10月23日)は,次のとおり報じています.

 「国立ハンセン病療養所・菊池恵楓園(合志市)で職員数が年々減少し、入所者の生活に深刻な影響を与えている。「人手が足りず、ブザーで呼んでもなかなか来てもらえない」「朝の洗面介助は午前4時から始まる」-。入所者や支援者でつくる「菊池恵楓園の将来を考える会」が実施した調査から、厳しい現状が浮かび上がっている。

 調査は医療・介護の実態を調べるため、今年2~9月に実施。入所者にアンケートで現状や改善してほしい点を聞いたほか、一部職員からも聞き取りをした。まだ中間集計の段階だが、入所者からは医師、職員の不足に伴う生活面の不自由さや不安を訴える声、今後も職員削減が進むことを心配する声が目立った。

 菊池恵楓園入所者自治会によると、入所者はハンセン病の後遺症に加え、高齢化で食事や生活面の介助が必要な人が増加。療養所の医療・介護の質を保つため、マンパワーが求められているという。

 同園の入所者数は18日現在、346人で平均年齢80・8歳。10年以上勤める介護職の男性は「高齢化で介助が必要な人が増え、手が回らない。入所者に不自由をかける場面もあり、すまないと思いながらお世話している」と打ち明ける。

 ハンセン病問題基本法は、国が療養所の医療・介護体制の確保に努力することを規定。しかし、「5年間で国家公務員を10%以上削減する」とした2009年の閣議決定に伴い、全国の国立ハンセン病療養所でも職員削減が進んでいる。

 菊池恵楓園入所者自治会によると、医師や看護師、介護職員などを合わせた本年度の職員数(賃金職員含む)は511人。この10年間で約13%減少した。

 今年8月、当時の小宮山洋子厚生労働相は、全国ハンセン病療養所入所者協議会(全療協)などとの協議で「大幅な定員減に歯止めをかける」と約束した。事態が改善されない場合、全療協はハンガーストライキや座り込みなどの実力行使も辞さない方針だ。

 全療協などは11月5日に東京都内で市民集会を開き、高齢化が進む療養所の介護の実態を訴える。ハンセン病市民学会も同8日、東京の日本記者クラブで実態を報告する予定。(楠本佳奈子)」


菊池恵楓園だけではなく,全国各地のハンセン病療養所の入所者の状況は,まったく同様です.

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-24 02:38 | 医療

日弁連,「パソコンの遠隔操作による脅迫メール事件等の取調べについての会長声明」

日本弁護士連合会(日弁連)は2012年10月19日,「パソコンの遠隔操作による脅迫メール事件等の取調べについての会長声明」を発表しました.

「これら事件では、逮捕・勾留手続の適否について今後十分に検証する必要があるが、加えて看過されてはならないのは、これらの事件のうち少なくとも男性2人の虚偽の自白調書が作成されていることである。報道によれば、供述調書には、ありもしない「動機」までが書かれているとのことである。全く身に覚えのない脅迫行為について自分がやったと認め、動機まで記載された調書が作成されているということは、捜査機関による違法または不適切な取調べがあったと考えざるを得ない。

今回は、たまたま真犯人が他にいることが明らかになったが、そうでなければ、これらは隠れたえん罪になっていたであろう。このことは、虚偽自白による隠れたえん罪が決してまれなものではなく、現在もえん罪が起こり続けていることを示している。

そして、こうした虚偽自白の原因は、弁護人の立会いが認められず、密室で行われる現在の取調べの構造的な在り方にあることは、当連合会がこれまで指摘してきたとおりである。

現在、法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」で議論されている取調べの在り方についての改革、とりわけ取調べ全過程の録画・録音の制度化は当然のこととして、弁護人立会制度の導入の必要性が、本件によって一層明らかになったというべきであり、早急な法制化を強く求めるものである。」


現在も,密室のなかの自白強要でえん罪が作られていることがよくわかる事件です.

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-24 02:27 | 弁護士会

イタリア最高裁,携帯電話の長時間使用と脳腫瘍発症の因果関係を認める(報道)

MSN産経「携帯使用で脳腫瘍? 伊最高裁、労災と認める 仕事で1日5~6時間使用」(2012年10月19日)によると,イタリアの最高裁は,仕事で携帯電話を長時間使用したことが脳腫瘍の発症につながったと男性(60歳)の訴えを認め,全国労働災害保険協会に労災保険の支払いを命じる判決を下した,とのことです.

「男性は2002年までの12年間に仕事で1日5~6時間、携帯電話やコードレス電話を耳に当てて使い続けた結果、頭部左側に良性の腫瘍ができ、手術を受けた。

 判決は、長年にわたる携帯電話使用と脳腫瘍発症の因果関係を示したスウェーデンの学者らの研究結果について「信頼性が高い」と認定。携帯電話の使用は腫瘍の「少なくとも原因の一つと言える」とした。

 男性は1審で敗訴。2審では勝訴し、協会側が上告していた。(共同)」


最近は,電話として使用することは少なくなりましたが,やはり気になります.

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-24 02:01 | 司法

全国がん(成人病)センター協議会,最新の生存率データを公表

全国がん(成人病)センター協議会(全がん協、31施設が加盟)は,2012年10月23日,がん患者の施設別生存率を公表しました.

これは貴重な命のデータです.
生存率は,医療裁判でも因果関係判断等に用いられますが,医療の進歩により,現在はこれより改善していることに注意すべきでしょう.

谷直樹

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by medical-law | 2012-10-24 01:50 | 医療

江戸川区の病院,医療ミスで,日本移植学会から腎移植中止勧告(報道)

日本経済新聞「生体腎移植後に患者死亡 東京、病院側ミス認める 」(2012年10月23日)は,次のとおり報じています.

 
「東京都江戸川区の○○病院で生体腎移植を受けた患者が、手術から9日後の昨年11月に死亡していたことが23日、関係者への取材で分かった。遺族側は「医師が静脈カテーテル(管)を抜く処置をする際にミスがあった」と主張。病院側もミスを認めている。

 日本移植学会は同病院に対し、調査で原因が判明するまで腎移植を実施しないよう文書で勧告した。学会関係者によると、こうした勧告は極めて異例という。

 遺族側代理人の竹花元・弁護士によると、死亡したのは関東地方の60代男性。重い腎不全のため昨年10月29日、妹をドナー(提供者)とする腎移植手術を受けたが、同年11月3日に医師が静脈カテーテルを抜いた直後に心肺停止状態となり、同7日に死亡した。

 竹花弁護士によると、患者の急変について主治医だった別の医師は「なんでこうなったのか」「何が起きているのか分からない」などと遺族に話すだけで、具体的な説明はしなかった。火葬の直前、遺族に「医療ミスがあった」と匿名で情報提供があったという。」


本件の患者側代理人弁護士の1人は,医療問題弁護団の竹花元先生ですね.

なお,内部告発は,実は結構あります.良心ある医療者は少なくないのです.

【追記】

msn産経「○○病院で腎移植の患者死亡 業務上過失致死容疑で捜査」(2012年10月24日)は,次のとおり報じました.

「東京都江戸川区の○○病院で昨年11月、生体腎移植を受けた男性が手術の9日後に死亡していたことが24日、関係者への取材で分かった。体内からカテーテルを抜いた直後に容体が急変しており、警視庁小岩署は業務上過失致死容疑で、医師らから事情を聴いている。

 遺族側代理人によると、死亡したのは関東地方に住む60代の男性。重度の腎不全のため、昨年10月29日に妹をドナーとする腎移植手術を受けたが、11月3日に医師が静脈カテーテルを抜いた直後に心肺停止状態となり、7日に死亡した。

 主治医は遺族に「カテーテルを抜いたことが原因になったかもしれないが、他に主因がある」などと説明。男性を火葬する直前に、遺族に「医療ミスがあったので、遺体を確認したほうがいい」と匿名の情報提供があり、遺族が同署に相談していた。

 同署が司法解剖した結果、死因は肺動脈に空気が詰まる「肺動脈空気塞栓(そくせん)症」だった。

 代理人によると、通常、カテーテルを抜く際は空気が入ることを防ぐため、患者をあおむけにする必要があるが、当時、男性はあぐらをかいた状態で処置を受けたという。同署は処置と死亡との因果関係を慎重に調べている。

 日本移植学会は同病院に対し、調査委員会の設立と調査終了までの移植手術の中止を勧告した。同病院は産経新聞の取材に「調査委員会の結論が出るまで何も話せない」としている。」



【再追記】

週刊文春「医療ミスで男性患者死亡。隠蔽する病院にあの××医師の影」(2012年11月8日号)は,次のとおり伝えています.

「「手術5日後、体内からカテーテルを抜いた直後に容態が急変。心肺停止状態になった。本来、カテーテルを抜く際は空気が入ることを防ぐため、臥床(横になった状態)で行うべきなのですが、担当医の△△△△△氏はなぜか座位で行ったというのです。

 しかも、もう1人の担当である▲▲▲▲医師は、遺族に『死因はわからない』と言い続け、事故を隠蔽し続けていた」(全国紙記者)

 だが、被害者が火葬される直前、「医療ミスがあった」との内部告発があり、遺族は警察に司法解剖を依頼。死因は肺動脈に空気が詰まる「肺動脈空気塞栓」と判明した。しかし医師らは以後もミスを認めずカルテの全面公開を拒否し続け、△△医師は鹿児島の病院へと移った。

「そもそも手術を担当した▲▲、△△の両医師は院内でも問題視されていた人物。彼らは生体腎移植をめぐる臓器売買事件で知られる宇和島徳洲会病院の×××医師の弟子筋なのです。特に△△医師は11年の同事件の移植手術の執刀医でした」(医療関係者)」



谷直樹

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by medical-law | 2012-10-24 01:30 | 医療事故・医療裁判