弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2013年 02月 21日 ( 1 )

無作為化多施設試験SPS3,有意差はなかったものの積極的な降圧療法が標準療法に優る可能盈を示唆

University of British ColumbiaのOscar Benavente氏の報告によると,無作為化多施設試験「SPS3(The Secondary Prevention of Small Subcortical Strokes)」の結果から,虚血性脳卒中防止について有意差はなかったものの,ラクナ梗塞患者への積極的な降圧療法(目標収縮期血圧値130 mmHg未満)が標準療法(目標収縮期血圧130~149 mmHg)に優る可能性が示唆されたとのことです.

ミクス「【ISC2013事後リポート】SPS3 ラクナ梗塞患者への積極的な降圧療法の有効性示唆  脳内出血のリスク低下」(2013年2月20日)ご参照

主要評価項目(脳卒中の再発)は、標準治療群2.8%/患者・年、積極的治療群2.3%/患者・年で、両群に有意差はみられなかったものの、積極的な治療により脳卒中の再発を約20%抑制することが分かった(ハザード比(HR):0.81、95%CI: 0.64– 1.03、p=0.08)。内訳は、脳内出血が標準療法群0.29%/患者・年、積極的治療群0.11%/患者・年で、積極的治療により60%以上の有意な低下がみられた(HR:0.37、95%CI:0.15 ? 0.95、p=0.03)。一方で、虚血性脳卒中は、標準療法群2.4%/患者・年、積極的治療群2.0%/患者・年(HR:0.84、95%CI:0.66 – 1.09、p=0.19)で、差はみられなかった。

副次評価項目の大血管イベント(積極的治療群:3.0%/患者・年、標準治療群:3.4%/患者年、p=0.10)、死亡(130 mmHg未満群:1.8%/患者年、標準群:1.74%/患者年、p=0.82)においても、両群間で有意差はみられなかった。

血圧低下による重篤な合併症の発生率は、積極的治療群0.4%/患者・年、標準治療群0.26%/患者・年だった(p=0.2)。内訳は、起立性失神(積極的治療群:0.19%/患者年、標準治療群:0.08%/患者年、p=0.14)、脳卒中(積極的治療群:0.034%/患者年、標準治療群:0.017%/患者年、p=0.57)などだった。降圧剤による重篤な合併症は、130 mmHg未満群の1例だった。

これまでに実施された、脳卒中またはTIAの既往患者において、降圧療法による再発抑制効果を検討した試験では、Dutch TIA試験は18%(1993年、Ca拮抗薬・アテノロール)、PATS試験は29%(1995年、利尿薬・インダパミド)、INDANA試験は29%(1997年、多剤併用)、HOPE試験15%(2000年、ACE阻害薬・ラミプリル)、PROGRESS試験28%(2001年、ACE阻害薬・ペリンドプリル vs 利尿薬・インダパミド)、PRoFESS試験5%(2008年、ACE阻害薬・テルミサルタン)などで、同試験の相対的リスク低下率19%がほぼ同等であると指摘。「脳卒中既往患者での降圧療法の治療効果を検討したこれまでの試験と一貫した成績」との見方を示した。」


谷直樹

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by medical-law | 2013-02-21 04:20 | 医療