弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2015年 06月 05日 ( 3 )

欧州人権裁判所,回復可能性のない四肢麻痺の男性の「死ぬ権利」を認める

Vincent Lambert氏は,2008年に交通事故で脳に重度の損傷を受け四肢麻痺(tetraplegic)となりました.
フランスの法律は,消極的安楽死を認めています.3人の医師はフランスの法律と同氏の配偶者と兄弟の同意で静脈への栄養を止めることを決め,フランスの国務院( Conseil d'État)はこれを支持しました.同氏の両親と同意しなかった兄弟は,生命維持の継続を求め,欧州人権裁判所に提訴しました.
患者の配偶者と両親の意思が真っ向から対立していたのですが,欧州人権裁判所は「生命の権利」を侵害しないと判断しフランスを勝たせました.

Lambert and Others v. France
5 June 2015 (Grand Chamber)


The applicants are the parents, a half-brother and a sister of Vincent Lambert who sustained a head injury in a road-traffic accident in 2008 as a result of which he is tetraplegic. They complained in particular about the judgment delivered on 24 June 2014 by the French Conseil d’État which, relying on, among other things, a medical report drawn up by a panel of three doctors, declared lawful the decision taken on 11 January 2014, by the doctor treating Vincent Lambert, to discontinue hisartificial nutrition and hydration. The applicants submitted in particular that withdrawing hisartificial hydration and nutrition would be contrary to the State’s obligations under Article 2 (right to life) of the European Convention on Human Rights.
The Court held that there would be no violation of Article 2 (right to life) of the  European Convention on Human Rights in the event of implementation of the Conseid’État judgment of 24 June 2014.



谷直樹


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by medical-law | 2015-06-05 21:03 | 医療

兵庫県立加古川医療センター,看護師が車いすの安全ベルト装着を忘れ患者が転倒(報道)

神戸新聞「車いすで転倒患者骨折 加古川医療センター、ベルト装着怠る」(2015年5月26日)は,次のとおり報じました.

「兵庫県病院局は25日、加古川医療センター(加古川市神野町)で今年3月、車いすに乗っていた60代男性患者が転倒し、鼻を骨折する事故があったと発表した。看護師らが安全ベルトの装着を確認することを定める院内のマニュアルに従っておらず、同センターは患者や家族に謝罪した。

 同局企画課によると、3月6日、50代の女性看護師が、脳腫瘍で左半身まひの男性を車いすに乗せた。安全ベルトをしておらず、看護師が別の患者の対応に向かった際、男性が一人でトイレに行こうとして転んだという。

 佐藤二郎県病院事業副管理者は「より一層、医療安全対策を充実し、再発防止に努めたい」とコメントした。」


事故の原因は安全ベルトのし忘れですから,病院の責任は否定し難いでしょう.



 谷直樹


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by medical-law | 2015-06-05 20:33 | 医療事故・医療裁判

新潟県立加茂病院,70歳代の認知症患者の食道の誤飲した義歯を見逃し,358万8100円賠償(報道)

NHK「加茂病院の医療ミスで県が賠償」(2015年6月5日)は,次のとおり報じました.

「県立加茂病院によりますと、平成24年11月、肺炎で入院した認知症の70代の女性患者にX線検査をした際、医師が食道に影を確認したものの、過去の手術の際、健康を維持するために置いた医療器具だと考えそのままにしていました。
女性は、その7か月後に体調が急変し、改めてX線検査をしたところ、影は、女性が誤って飲み込んだ入れ歯だったことがわかりました。
女性は、去年5月、肺炎で亡くなり、遺族が「入れ歯を見落としたことが肺炎を引き起こしたり、飲み込む力の低下につながったりした」と主張し、民事調停を起こしていました。
これについて、新潟県は肺炎との因果関係は否定したものの、「入れ歯を見過ごしたことで、飲み込む力の低下を起こした可能性は否定できない」として医療ミスを認め、遺族に358万円余りを支払うことを決めました。
病院では、検査の際に患者や家族の聞き取りを徹底して再発防止を図りたいとしています。」



上記報道と 「医療事故に係る民事調停の成立について(県立加茂病院)」で知る範囲からすると,平成25年6月に患者が急変した際にX線検査を実施して改めて精査した結果,陰影は入院前に患者が誤飲した義歯と判明し,患者家族に謝罪し治療方針を相談した結果義歯を除去せず保存的に治療を行うこととしたとのことです.平成24年11月の時点では,70歳代の患者は義歯取り出しに耐える体力があったのが7か月の間にその体力がなくなったということなのでしょう.

民事調停手続については裁判所のサイトご参照


 谷直樹


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by medical-law | 2015-06-05 19:50 | 医療事故・医療裁判